舞台を生み出す立役者 クリエイターに迫る。「時子さんのトキ」編

  • 2020-8-8

ちょっと ここだけ ハナシ。

まるでカフェで話しているかようなリラックスした雰囲気で、作品に携わるクリエイターの方々に話を聞かせてもらう、“ちょっと ここだけ ハナシ。“
今回のプラスな話を届けてくれるは、2020年9月上演の脚本演出家・田村孝裕さんの新作舞台『時子さんのトキ』のプロデュースを手掛けた三浦沙奈弓プロデューサー
これまでに、舞台『野球』(19)『オリエント急行殺人事件』(19)舞台『不機嫌な女神たち プラス1』(19)など、幅広いジャンルの作品を手掛ける三浦さんが「観たい」と感じた『時子さんのトキ』とは? 三浦さんの心を動かす田村孝裕さんの魅力とは?そして、キャスティングについての話題まで広くお話を伺いました。是非、ご覧ください♪

相反することの狭間にあるリアリティ

田村孝裕さんとは、2度目のタッグとなりますが、今回の企画のきかっけは?

もともと田村さんの作品が大好きで、昨年の舞台『不機嫌な女神たちプラス1』(以下『不機嫌な女神たち』)で(田村さん演出で)ご一緒したときに、次は田村さんの脚本でもご一緒したいなと思っていたんです。

『不機嫌な女神たち』が決まった時もすごく喜んでいらっしゃいましたよね(笑)。そんな三浦さんを虜にする田村さんの作品の魅力とは?

田村さんは、偉人とかすごい人たちを描くのではなく、日常の中で起こりうるドラマを描く方だと思っていて。その中でも田村さんの日常の描き方って生活の些細な一部まで舞台上にあるような、すごくリアルな人生の描写を描いているなと。笑いながら泣けるような、泣きながら笑えるような、相反することの狭間にあるリアリティみたいなものを表現するのがとてもお上手な方だと思っています。

『不機嫌な女神たち』のパンフレットの一節を拝読したとき、そこに共感する自分は日本人であり昭和の人間だなと思いました(笑)

田村さんのご挨拶文※1『耐える、忍ぶ、堪える…』ですよね(笑)。

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※1舞台「不機嫌な女神たち プラス1」 公演パンフレット挨拶文より(一部抜粋)
耐える、忍ぶ、堪える……これは日本人の気質というか美徳というか 文化という風に私自身は捉えてきたー(略)
耐える、忍ぶ、堪えるは悲劇だが、むき出すことは悲喜劇である。ー(略)
—————————-

そうです!好きだなあと。でも、何気ない日常を描ける田村さんはすごく人間観察に長けている方なのかなと思いました。私だったら何気ない日常は何気なく過ぎていく気がする…。

そうですね(笑)。細部を描いているんですけど、脚本演出家は一番俯瞰して見ているのかなと思います。『蟻の目と鳥の目を両方持つ』といったような。

なるほど~蟻の目と鳥の目を両方持つ…ですか。

あ。でもこれは蜷川幸雄さんが仰っていたことなんですけど…。

ええっ!?すごく素敵な表現!と思ったら(笑)

そうなんですよ(笑)。今でもよく覚えています。

田村さんとご一緒したいとなってからのやり取りは?

新作のお話をして、どんなものを書こうかとざっくり話しつつも、ぽろっと田村さんが『貢いじゃう女の人の話ってどう思いますか?』って言ってくださって。そのワードに私は『なんですか?それっ?』と食いつきました(笑)。

たしかに気になるワードですね。

その先の話が知りたくなっていって、(田村さんから大筋のあらすじを聞いて)率直に『観たい!』と思ったんです。女性と騙す側の男性の関係が、恋人でもないけど恋人みたいな関係と、母親と子供との関係の両軸が共存しているのがすごく面白くて。(時子さんは)母親としての愛情が多すぎる人なんです、という話を聞いてその気持ちも分かるし、幸せになってほしいなって。

時子さんが?

そう、時子さんが。すでに(笑)。

期待が膨らむキャスティング

キャスティングですが、時子さん役に高橋由美子さんへお声をかけられたのは?

田村さん作品の中には毎回笑いがあると思うんです。その笑いの中にも振り幅があって。おかしかったり、可愛らしかったり、物悲しかったり。その笑いの振り幅と世界観が合う方がいいなと。あと、コメディエンヌな方がいいなと思っていたんですよね。

そこではまったのが高橋由美子さん。

高橋由美子さんは、すごいチャーミングな時子さんになると思うんです。コメディエンヌな方だと思いますし。それは田村さんも仰っていて。時子さんが持っている振り幅と共通する部分があるんじゃないかと。

なるほど。では、翔真役の鈴木拡樹さんについては?

鈴木さんは、2.5次元としての活躍がすごく大きくて、その中でトップを走り続けている俳優さんだと思うのですが、トップを走っている方の力ってとても偉大だと思っていて。すごく努力家な方ですし。

鈴木さんとは、舞台『煉獄に笑う』(17)、舞台『どろろ』(19)と、ご一緒していますよね。

そこでいうと、今回はある意味デンジャラスな存在を楽しみにしているというか、見てみたいなと思っていて。すごく人間臭い人だと思うんですよ、翔真って。だから自分を守りたいというところもあるし、自分の欲望もあるし。そういう人間臭い人を鈴木さんが演じるのも見どころじゃないかと思っています

 

今までの鈴木さんとはまた違う一面が見られる期待も感じますね。

(時子さんと翔真は)男女の感情や利害関係もあると思いますし、疑似的な母と息子のような関係でもある。鈴木さんには、時子さんの息子役も演じていただくんですけど、恋人や息子は、まったく違う存在だけど、時子さんが求めている何かを持っているという意味で共通する魅力があると思うんですよね。翔真は、その理想をまとったダークな存在だと思うので、それが人間味のある翔真になるといいかなと思っています。そして、ダークなだけではなくて、きっと不器用でどこか愛せる存在でもあるのかな、と。

プロットを拝読したとき、時子さん以外の登場人物にもドラマがあって、どの人物を主役にしてもまた別の物語が始まるんじゃないかと思えるのがすごいと思いました。

そう。ミニチュアの世界みたいで、どこを見てもストーリーがあって物語があって。その世界観がすごく好きなんです。すごくハッピーなものが観たいときもあるけど、実際の生活はハッピー100%でできているわけではないから。だからこそ田村さんの作品の幸せがとても愛おしく感じるし、刹那なものだなと思う。

ああ、わかります。

観るだけで元気をもらえるようなエンタメももちろん大好きですけど、世間的に許されないことだったり、どちらかというと弱い人にスポットをあててくれるような物語にも良さがありますよね。

田村さんは素材の味を生かす一流の料理人

今後、plus aでも俳優さんそれぞれの個性が引き出せるようなインタビューができたらいいなと思います。

そうですね。田村さんが話しているのを聞いて素敵だなと思ったのが、自分が料理人だとすると、味付けをして美味しい料理を提供するのは苦手で、お刺身のように、役者さんの持ち味次第で一番おいしい料理が提供できるんです、と。

素材の味を生かす、みたいな?

そうそう(笑)。お刺身を出すような演出家なんですって。それを聞いてほんとにそうだなって思って。

なるほど。私だったらカレー味にしとけば間違いないだろうってなるかも(笑)。

あはは。

そう思うと、やっぱり田村さんは人をすごく見られている方なんだろうなって思います。こういうお話を聞くと、もっと田村さんを深掘りしていきたくなりますね。

あと、『時子さんのトキ』というタイトルも素敵ですよね。

田村さんがつけられたんですか?

そうなんです。『時子さん』って入れたかったんですって。

へえ、田村さんの時子さんへの思い入れを感じますね。

『時子さんのトキ』の「トキ」が「場合」だったり「時間」だったり、そして息子の「登季(トキ)」でもあったり。解釈次第で色々な意味を持てるタイトルだと思います。

なるほど。だから(「トキ」が)カタカナなんですね。これは田村さんの視点からも『時子さんのトキ』について聞いてみたくなりますね。それこそ着想のきっかけとか。

あ、それ私も聞いてみたい!

プロデューサーは作品のファン1号 

最後に三浦さんにとってプロデューサーとは?

この方の作品素敵だな、すごいな、ご一緒したいなという思いが募って夢を叶えさせてもらっているところがあるので、その方たちとご一緒したときに、役者さんも含めて作品を作っている過程をみられるのは幸せで、嬉しくて。あと、語弊があるかもしれませんが、お客様と同様に作品を楽しみにしている人でもあるというか。舞台は総合エンタテインメントなので、企画を立ててから上演するまでの過程も数年かかりますし、大勢の人たちがそれぞれの分野の知識と力を持ち寄って作り上げるエンタメなので、観劇はとても贅沢で素敵な時間だと思っています。

でも、だからこそお客様に伝わるものが作れるんじゃないかなと思います。

ただ、絶対にこれだけは守らないといけないと思っていることは、お金と時間と労力をかけて舞台を観に来てくださっているお客様に、それ以上のものを持ち帰っていただけているのかということを一番に思います。そのためにも、お客様が観て面白いと思えるものを作らないといけないし、観終わったあとに、『ちょっと明日も頑張ろう』って思って頂けるものを届けていきたいです。

貴重なお話し、ありがとうございました!

抽象的な概念で当たり前のことを言っていることが恥ずかしい、と言う三浦さんですが、当たり前のことを大事にし、守り続けているからこそ、観に来てくださった方の心に届く作品が作られるんだろうなと思います。

今回のプラスな話を終えて、田村孝裕さんの世界で描かれるぞれぞれのドラマに浸り、その先に見える何かを感じられることを楽しみにしていただけたらいいなと思いました。私もこの舞台を観終わったあと、どんな想いを残すのだろうと、今からわくわくしています。とっても素敵な“プラスなトキ”でした。


【公演概要】
「時子さんのトキ」

【出演】高橋由美子/鈴木拡樹/矢部太郎 伊藤修子 山口森広 豊原江理佳
【作・演出】 田村孝裕
【日時/会場】
<東京> 2020年9月11日(金)~9月21日(月祝) よみうり大手町ホール
<大阪> 2020年9月26日(土)~9月27日(日)サンケイホールブリーゼ
【オフィシャルHP先着先行】8月4日(火)17:00~8月11日(火)23:59
【チケット料金】
■全席指定(非売品グッズ&動画配信視聴券付):13,000円(税込)
※全席指定(非売品グッズ&動画配信視聴券付)は、先行のみの販売となります。
※非売品グッズは公演当日、会場にてお引換下さい。
■全席指定(動画配信視聴券付):11,500円(税込)
■全席指定:9,500円(税込)
■動画配信視聴券:2,500円(税込)※本先行での取り扱いはございません。
※販売期間:8月16日(日)10:00~9月28日(月)23:59
■動画配信視聴券:3,300円(税込)※本先行での取り扱いはございません。
※販売期間:9月29日(火)0:00~10月3日(土)23:59
※動画配信視聴期間:10月2日(金)10:00~10月4日(日)22:00(生配信ではございません)
※動画配信視聴券でご覧頂ける映像は、東京公演期間中に収録した本編となります。
※動画配信の視聴方法は、後日ご案内いたします。
※ご購入後の返金・クレーム及びお席の振替は一切お受けできません。予めご了承ください。
※未就学児入場不可

【公式HP】 https://tokikosan.com
【公式Twitter@tokiko_stage

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