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北村一輝×明日海りお W主演 不朽の名作ミュージカル『王様と私』 製作発表レポート

俳優の北村一輝と明日海りお、演出家の小林香が26日、都内で行われたミュージカル『王様と私』製作発表に登壇した。

『王様と私』は、1951年にブロードウェイにて初演されて以来、幅広い年代に愛され続ける不朽の名作。日本では1965年に東宝製作で初演され、その後もさまざまなキャストによる上演が重ねられてきた。

日生劇場での公演は、1996年9月以来、28年ぶりの上演となる今回、小林香が演出を担当。欧米の列強の干渉から国を守り、独立自尊と発展を目指す王様役を北村一輝、王の子供たちの家庭教師となるイギリス人将校の未亡人・アンナ役を明日海りおが W主演を飾る。
国籍・文化・身分を超えた、信頼と愛の物語を、新しい新演出版としてどう描かれるのか。全てが生まれ変わる『王様と私』に注目が高まる。

取材会では、オファーを受けた時の心境やビジュアル撮影でのエピソード、さらに小林が自らバンコクに赴き知見を得た話など、本番に向けて期待が高まるエピソードが語れた。

ーーまずは、ご挨拶からお願いいたします。

北村 今回、ミュージカル初挑戦といいながらも、大役をやらせていただきます。

明日海 北村さんがきっととても楽しい会見にしてくださると思うので、たくさん笑ってたくさん記事を書いてください(笑)。

小林 約四半世紀以上ぶりに『王様と私』を北村一輝さん、明日海りおさん、そしてカンパレンスの皆さんとともに新演出で上演させていただけることをとても光栄に思っています。クラシカルな作品ですが今のお客さまにしっかりと届くドラマを作っていきたいと思っております。

――オファーを受け時の感想や今の心境をお伺いさせてください。

北村 ほんとに渋りました(笑)。渋ったっていうより無理ですと。お断りをするような勢いでずっと返事をしていました。それにはいくつか理由があるんですが、ミュージカルという歌が中心の世界で芝居だけやってきた自分が果たしてやっていけるのかという歌に対する壁がありました。自分が観客だったら果たして僕みたいなものを観たいんだろうかと。いろんな考えがあったんですが、最終的にプロデューサーの方が僕が昔声楽の発表会をやった時の歌声を覚えてくださっていて、「絶対できます!」という言葉に乗っかってみようと。でもその歌も35年くらい前の話なので大丈夫かなという不安もありますが、前向きな気持ちでやろうと思っています。

明日海 この作品はとてもクラシカルでミュージカルファンなら誰もが知っている。そして、『Shall We Dance』という楽曲も聴いたことがない人がいないくらいとってもポピュラー。そういうものこそ技術や演じる人の持っている魅力が必要となりそれが問われる作品だと思うんです。なので私に務まるんだろうかという思いもございました。でも、小林さんが新しく演出をしてくださり、王様になんと北村さんが演じてくださるということで、新しいケミストリーで新しい『王様と私』が生まれるんじゃないかととっても楽しみです。

――お二人のお話を聞いて小林さん、いかがでしょうか。

小林 北村一輝さんと明日海りおさんというお二人で作品を作れる今の状態に喜びでしかないです。それと同時に、東宝でお仕事をさせていただいた時に、東宝の中における『王様と私』の存在の大きさというものを肌身で感じておりましたので、喜び以上に大きな使命を帯びた責任感の方が大きく感じられました。とても昔に生まれた作品ですので、今の時代にやることへのプレッシャーも同時に感じております。今日、お二人と目と目を合わせてお話をしたら勇気がモリモリと沸いてきまして、まもなく稽古も始まりますので本当にいい作品を作りたいなと思っております。

――昨年末に撮影をしたポスター撮りの時のエピソードはありますか?

明日海 私はビジュアル撮影で初めて北村さんにお会いしたんですが、会う前からいろんな現場で「北村さんに会った?会った?」と聞かれたり、(小林)香さんにも「北村さんはすごいよ、みりおちゃん」と言われていたので「なにがすごいんだろう。楽しみだな」と思いながら緊張して行きました。そこで撮影中ずっとお優しくエネルギッシュに、そして自由に撮影をしていかれる北村さんの王様の姿を拝見して、早く稽古をしたいなと思いました。自分自身はこの大きなドレスをどうやって着こなそうとか、カツラもどういう形が似合うんだろうと、いろいろ間に合わせようとひっちゃかめっちゃかだったんですが、撮影が始まったら楽しい王様と掛け合いのような撮影ができて私は楽しかったんですけど・・いかがでしたでしょうか?(北村の方をみる)

北村 すごく楽しかったですよ(笑)。もちろんポスターを撮ることも大事なんですが、作品がすごく大事なので後悔をしないくらいいろいろ話し合って(この作品が)最後の一本と思うくらいの気持ちでやりましょうと。これが人生を変えるくらいの作品になるようにしたいね。と小林さんとも話しをしました。こういった話は現場でもすることはあるんですが、本気で思っています。ぶつかれるだけぶつかって、お客さまの前でいいものを作れるような空気作りをしまようと熱く語りました。(自分の)顔も暑いのに。
(一同笑い)

――小林さんからみて、お二人の感じはいかがだったでしょうか。

小林 先ほど明日海さんが仰っていた”ケミストリー”みたいなものが生まれたなと間近でみていて感じました。夫婦漫才のようなに掛け合ってらっしゃって、これはいい本番になるなと感じました。

――現時点で役に向けて取り組んでいるとこはありますか?

北村 昨年の夏頃にお返事をしてからすぐにボイストレーニングを始めました。空いている日は必ずスタジオに行くか、もしくはカラオケボックスに一人で行くような男になり・・マイクを使わずに譜面を持って歌う。とにかく先生に毎日声を出して筋肉を使うことが大事だと言われたので本番が終わるまではできるだけの努力はやらないといけないなと。ほかのキャストの方たちよりも経験もないのでできるだけ声を出す練習はしようと、今も毎日しております。

――役柄的に肌の露出も多い役の印象はありますが、体のトレーニングなどは?

北村 それは脱げと言ってるんですか?(一同笑い)
小林 今日も胸元が予定よりけっこう開いていて(体を)仕上げてきてるなと。
北村 そうなんですよ。この衣裳を着るたびにどんどん(胸元が)開いてきてて。まあ、急に(脱げと)言われてもいいように一応覚悟はしてますけども(笑)。舞台は人様の前に立つものでもありますし、少しでも見栄えよくするのも大事だなと。宝塚のファンの方もきっといらっしゃるじゃないですか。皆さん、綺麗なものを観られている方なのであまりみっともない姿を見せるとドン引きされるんではないかなと、こうやって強気でいながらひやひやしてます(笑)。ギリギリまでやれるだけ老体に鞭を打ちながら頑張ります。

――『Shall We Dance』というビックナンバーでのダンスシーンもありますが、明日海さんいかがでしょう。

明日海 一番盛り上がる展開のところに歌って思いっきり二人で踊るという場面なので、体力的に息が切れそうな時でも優雅に楽しく見せられるように私も北村さんと一緒でお休みの日はカラオケに譜面を持って練習しております。
北村 会うかもしれないですね。
明日海 そうですね。この声は!?ってなるかもしれない(笑)
(一同笑い)
明日海 私も露出が今までに比べて多いお衣裳なので、ちゃんと綺麗にみえるようにジムやティラピスに通いたいと思いますし、お歌の方も自在に歌えるように早く香さんのNew歌詞で練習をするのを楽しみにしています。
小林 お二人とも準備万端ということは存じ上げています。
北村・明日海 いやいやいやいや。
小林 ポルカや歌がありますが、この作品は二人がバチバチしてガチでぶつかり合うお芝居の物語なのでそこを早くやりたいなとうずうずしています。

――小林さんはバンコクに行ったと伺いましたが、現地で得られたことを教えていただけますか。

小林 舞台美術を考える際に現地に行った方が早いだろうということで、タイの寺院や王宮、そしてタイ舞踊のことやそこに使う仮面の買い出しをしてものすごい量を持って買ってきました。ラーマ4世という実在する王様なのでその歴史も学びましたが、個人として一番収穫が大きかったのは、向こうの方々の国王への敬意の大きさです。それを肌身で感じ信仰心の厚さというのは行ってみないとわからないなと思いました。あとタイの方の親切さや優しさをあちこちで感じました。そういったところも演出をする際に非常に役立つのかなと思い、行って良かったなと思います。北村さんに遊びに行くんだろうと言われたんですが、しっかり仕事をしてまいりました。(一同笑い)

北村 僕も行きたかったなあ。

――ダンスのトレーニングはなにかされているんでしょうか?

北村 よくぞ聞いてくださいました。まだ本格的な練習はしてないんですが、ポスター撮りのために少し練習をしてみたんですが、気軽に考えてたんですよ。僕。回るだけだろうと思ったら、まあ!しんどいんです!一回やったら途中で息が切れて。ミュージカルに関しては観客側によくいた人間なので、歌とかダンスとかどうなの?と言えた側だったんですがやる側にくると大変ですね。(一同笑い)その時は衣裳を着てない状態だったんですが、衣裳を着た状態だと遠心力でもっと重くなると聞きまして、大丈夫なんでしょうかね・・けっこう疲れている時にダンスシーンがくるじゃないですか。

明日海 後半ですもんね。

北村 膝がガクガクになっているかもしれません。そういう風になっていてもなるべく見ないでいただきたいなと。いい感じで誤魔化してやっていきたいなと思っております(笑)。

――明日海さんは北村さんのダンスをご覧になっていかがですか?

明日海 ポスター撮影で手を取って組ませていただいた時は本物の王様という感じで全く違和感なくされていたので、すごくお稽古をされたんだろうなと思いました。それで言うと私もかなり大きなお衣裳でクルクル回ることになるので、吹っ飛ばされないようにしっかりしがみついていきます。
北村 衣裳が想像以上に大きさと重さがあるんですが、これを着て稽古をしないと乗り越えられないと思います。これで簡単にできるようになった時、きっと素晴らしいものをみせられる、と強気な発言で締めさせていただきます。

――歴代の王様の髪形とは今回違いますが、新演出ならではということでしょうか。

北村 それもよく聞いていただきました。これには賛否両論はあると思うんです。最初、小林さんとの中で丸坊主にというお話もあったんですが、新しいものを作りたいと。正直言うとそこが大きな理由のひとつです。これをやることによっていろんな意見をいただくだろうなと思いつつも、逆に言うとこれでハードルがあがるなと。もっと素晴らしいものを見せなきゃいけないという。自分の首を絞めるかもしれませんがかなり士気が上がって頑張ろうという次第です。話し合った結果ですが、今の髪形に落ち着きました。

小林 ものすごく打ち合わせをしました。髪の毛打合せを何回もやりましたよね?
北村 そうですね。いろいろな問題もありましたが、どんなこともやろうとすればやれるだろうと。
小林 それがこれだけ伝統のあるものを新しいバージョンでやるということに向かっていくことなんだなと、一つ一つの打ち合わせをやりながら思いました。こうやって主演の俳優の皆さんとディスカッションをしながら作っていくことも楽しいですし、その中で生まれる予期しなかったものもありますので、一つ一つのプロセスが今回のプロダクションにとって大切なものになるなと感じております。

――明日海さん、王様役が北村さんと聞いた時の率直な感想は?

明日海 昔からいろんな作品を拝見させていただいてますが、すごい・・(北村の方を向いて)率直に言います、すみません。怒りますか?
北村 お手柔らかにお願いします。(一同笑い)
明日海 すごく迫力のありそうな王様になりそうだと思いました。でもこんなに気さくで明るい方だと知らなかったので・・・すごい怖いかなと思ってました。でもどうなるか分かりません。稽古が始まったら、「怖い!」ってなるかもしれませんし(笑)。

――北村さん、どうぞお願いします。

北村 どうぞ?(笑)。いやいや・・あの・・怖いっすよお(一同笑い)。僕こそ、元宝塚のトップの方というだけですごいプレッシャーなんですよ。会った時に怖かったらどうしようかと。「あんた!できるの!?」みたいなことを言われたらどうしようかなと思いながら(笑)。なかなかチキンのハートなので(笑)。これからいろんなハードルはあると思いますが、初日に会った時に安心していいモノ作りができる仲間だなと思いました。

公演は4月9月から30日まで東京・日生劇場にて、5月4日から8日まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールで行われる。


公演概要
ミュージカル「王様と私」
【音楽】リチャード・ロジャース
【脚本・歌詞】オスカー・ハマースタインII
【翻訳・訳詞・演出】小林香
【出演】
王様:北村一輝
アンナ:明日海りお
タプティム:朝月希和
ルンタ:竹内將人
チャン王妃:木村花代
ラムゼイ卿:中河内雅貴
オルトン船長:今拓哉
クララホム首相:小西遼生

アンサンブル:井口大地、伊藤かの子、風間無限、笠行眞綺、金子桃子、河野駿介、黒田陸、酒井航、島田彩、鈴木遼太、聖司朗、西尾真由子、福満美帆、松田未莉亜、丸山泰右、宮河愛一郎、村上貴亮、村上すず子、矢野友実、吉田玲菜、植木達也、油井杏奈
※植木達也と油井杏奈はスウィング
【日程・会場】
<東京公演>2024年4月9日(火)~30日(火)日生劇場
<大阪公演>2024年5月4日(土・祝)~8日(水)梅田芸術劇場 メインホール
【公式作品HP】https://www.tohostage.com/thekingandi/