三宅健×馬場ふみか×西村まさ彦で贈る、奏劇第4弾『ミュージック・ダイアリー』開幕コメント到着
三宅健、馬場ふみか、西村まさ彦が出演する、奏劇 vol.4『ミュージック・ダイアリー』が、6月20日から29日まで、東京・よみうり大手町ホールにて全12公演行われる。初日に先駆け、三宅、馬場、西村、そして原案・作曲の岩代太郎氏、演出の首藤康之氏より初日開幕へ向けてのコメントが到着した。
奏劇は、作曲家の岩代太郎が音楽と演劇の融合を目指し、2018年にスタートした舞台シリーズ。シリーズ第4弾となる「ミュージック・ダイアリー」は、敵国同士で恋人になった男女が、“交換音楽日記”で心を通わせていくさまが描かれる。
優れたピアノの名手で音楽大学で作曲を教えるミカエル・ハインズ役に、2022年の奏劇vol.2に引き続き、2度目の出演となる三宅健。同じ音楽大学でピアノを教えているミカエルの恋人 ナザレンコ・ローラ役を演じるのは馬場ふみか。さらに西村まさ彦が2人の恋物語を語るストーリーテラー 久遠泰平役を演じる。そして今回演出を手掛けるのは世界を股にかけて活躍する著名ダンサーの首藤康之。音楽の中にある物語を常に身体で表現している首藤にとって本作の演出は必然といえる。
また、脚本を担当するのはリーディング形式の新作ミュージカルがニューヨークで上演されるなど活躍が注目されている須貝 英。3人の俳優と2人のピアニストのみとなる今回の舞台。言葉と音楽が密接に絡み合う奏劇に期待が高まる。
初日開幕へ向けてのコメント
三宅健 [ミカエル・ハインズ 役]
前作『Trio』では音楽と演者が交錯する場の広がりを感じていましたが、今回はキャストも音楽も削ぎ落とされ、舞台の密度が格段に高まりました。二台のピアノが織り成す音の緊張感と、三人の俳優による対話の濃度が響き合うことで、舞台上の「間」や「沈黙」にすら意味が宿る。その静けさの中に、より深い感情の流れを感じています。
この物語を通じて伝えたいのは、「愛することは、憎しみよりもはるかに力強い」という真理です。対立のただ中にある二人が惹かれ合う姿は、今なお争いの絶えない世界に対し、静かで力強い問いかけとなる。人を愛するという最も根源的な行為こそが、分断を超える鍵であると、私は信じています。
もしも自分が交換日記をするとしたら、生まれも育ちも全く違う環境で育った人と、国を超えて日記を交わしてみたいですね。今の時代だからこそ、それが容易に出来ると思うし。
人が人を想うことの力強さと儚さ、その本質に触れる物語を、音楽とともに舞台に刻みたいと思います。戦いではなく、愛を信じる二人の心の軌跡が、観てくださる皆さまの胸に静かに届くことを願って。初日、深い感謝と緊張を胸に、誠心誠意、舞台に立ちます。
馬場ふみか [ナザレンコ・ローラ 役]
「奏劇」には初めて参加するのですが、お稽古は新鮮な日々でした。朗読劇自体も初めてなので、まず稽古期間の短さに驚きました。最初は録音した音源と合わせて本読みや稽古をしていたので、初めてピアニストの方々と合わせた時の衝撃が忘れられません。役者の芝居にピアニストの方々の演奏が加わって、より物語に没入できた感覚でした。
この「ミュージック・ダイアリー」は、やはり、平和への祈りが大きなメッセージになっていると思います。会いたい人に会えて、すぐに連絡が取れる今の日常が当たり前ではないことを私もこの作品を通して改めて感じました。
もしも自分が交換日記をするとしたら、未来の自分との交換日記をしてみたいです。今の私はこんな感じなんだけどあなたはどう?みたいな感じで、20 年後の自分くらいがいいかなぁ。
大変緊張しているというのが本音ですが、自分自身の新しい挑戦ということで楽しみでもあります。役者とピアニストが紡ぐ『ミュージック・ダイアリー』目で耳で体感していただきたいです。
西村まさ彦 [講談師 役]
とてもゴージャスな舞台に大変興奮しています。生のピアノ、しかも2台のピアノとこれだけの至近距離で言葉と音楽を交わすのは、贅沢な空間だと思います。私自身も、そしてお客さんも、同じ思いで物語に臨んでいただけたら、と思います。どうぞお楽しみください。
岩代太郎 [原案/作曲]
第 4 弾となる今回の「奏劇」は、ウクライナとロシアの戦争が始まった頃、世界平和を祈って企画が始まった。あれから3年、思いとは反比例して世界には戦禍が広がり、残念な、意味で身近になってしまった。平和を願う思いを持ち続けたい、それが中核をなすメッセージです。
意気込みとは違うかもしれませんが、今回、初めてピアノ演奏のパートを、交代制にして、この奏劇を客席から見ることが出来るのです。そのことがとても嬉しいですし、リハーサルを見ているだけでも、新鮮なよろこびを感じます。そして私たちの志が第4弾にして間違いではなかった、と実感しました。
首藤康之 [演出]
初めてバレエ以外の演出を手がけましたが、とても刺激的な日々でした。別の頭蓋骨が開いた感じです。バレエと決定的に違うのは、言葉があることです。幻想的なイメージで見るバレエとは違い、日常的な言葉がお芝居にはある。日常的なことをそのまま舞台で見せても、それは面白くないので、その見せ方の工夫に意識を持ち続けました。
講談師、久遠泰平(西村まさ彦)から語られるのは、涙の恋物語。
始まりは、東ヨーロッパ、2021 年 12 月。
「ミール音楽院」という音楽大学に、優れたピアノ奏者で作曲家としても類稀なる才能を持つ、ミカエル(三宅健)という青年教授がいた。
同じ大学に隣国から通いながらピアノの教鞭を取る、ローラ(馬場ふみか)と、相思相愛であった。クリスマスに、ローラへ愛を告げるミカエル。そして彼女を想う愛の曲を弾いて聴かせた。
その調べに聴き惚れたローラだったが、ミカエルは手を止めて、「さぁ、この続きは君が作るんだよ」ミカエルはローラに曲の続きを作って欲しいと言う。
『交換日記』ならぬ『交換音楽日記/ミュージック・ダイアリー』を交わそうと。
そして2人のミュージック・ダイアリーは、スタートした。
ところが、ミカエルの生まれた国が、翌年 2 月──ローラの祖国へ向けた軍事侵攻を開始し、二国間で戦争が勃発する。
市街地にも容赦ない軍事攻撃が仕掛けられ、被害者には罪なき子供もたくさん出てしまう。
世界中から批判を浴びる中、国内では「この戦争は正しい」と支持する声が上がる。
ミカエルの尊敬する教授すらも、戦争を支持する。
しかしミカエルは「戦争は芸術の対極にある愚行だ。僕は断固反対します」と、戦争に異を唱える。
だが教授からは、思想は自由だが、この国で音楽家として大成したいなら、慎重に行動すべきだ、と、叱責を受け、失望と共に途方に暮れてしまう。
敵国出身のローラは、国外退去命令が出されてしまう。
離れ離れになっても 2 人は SNS を通じて、ミュージック・ダイアリーを続けた。
戦争を反対し続けるミカエルは、捕えられ、軍に強制入隊させられてしまう。激しい戦争の中、クリスマスが近づいた日、ついに両国が休戦に合意した。
たった 24 時間だが、クリスマス休戦と称し、それぞれの捕虜が交換、解放される運びとなった。
SNS 上で二人は「私たちが初めて愛し合った聖なる日に、国境にある小さな橋で会いましょう」と落ち合う場所を伝え合い、約束した。休戦前夜、クリスマス・イブ。
ミカエルがローラと落ち合う橋を目指している。ミカエルは物陰に身を潜めながら、ローラの面影を思い浮かべていた。
翌日の早朝、クリスマス休戦の訪れをけたたましいサイレンが告げる。
ミカエルは国境を目指した。ローラも目的地へと歩み始めていた。
そして二人の視界に、朽ちた小さな橋が現れた。
そんな橋の真ん中にも、目には見えない国境線が横切っているのだ。
ミカエルとローラは同時に、走り始めた。会える!やっと会える!不思議と涙が溢れてくる!
そして 2 人を待ち受けていた運命とは・・・。
公演概要
奏劇vol.4 『ミュージック・ダイアリー』
原案/作曲 岩代太郎
原案協力 山田能龍
演出 首藤康之
脚本 須貝 英
出 演 三宅健 馬場ふみか 西村まさ彦
ピアノ 榊原大 広田圭美 岩代太郎
日程 2025年6月20日(金)~29日(日)
会場 よみうり大手町ホール(東京都千代田区大手町1-7-1)
チケット料金 9,500円(全席指定税込)
主催 読売新聞社 ぴあ tsp
制作 tsp
公式サイト https://tspnet.co.jp/sougeki-2025