林 翔太と北川拓実がWキャストで挑む ミュージカル『ラパチーニの園』舞台写真&レポート公開!

韓国で誕生した新作オリジナル·ミュージカル『ラパチーニの園』が、2月20日より新国立劇場 小劇場にて上演中。

毒草に囲まれた庭園で育てられた一人の少女ベアトリーチェ。
彼女を守るために選ばれた、あまりにも過酷な運命。
ミュージカル『ラパチーニの園』は、“愛”という言葉の裏側に潜む「抑圧」と「暴力」を真正面から描き出す、韓国発の新作ミュージカルだ。

本作は、19世紀アメリカの作家ナサニエル・ホーソーンによる短編小説「ラパチーニの娘」を原作としている。韓国・忠武(チュンム)アートセンターの新作育成プロジェクト「ミュージカルハウス ブラック&ブルー2020」に選出され、2021年に初演。好評を博し、“アーツカウンシル・コリア2024年新作賞”を受賞した。その後、2025年に韓国で公式公演として再演され、今回、日本版として上演されている。
現代社会で話題とされる、愛の名の下に行われる「抑圧」や「暴力」、そして社会的偏見が残した「傷」を主題に据え、登場人物それぞれの価値観と感情が交錯する物語が展開される。

日本版クリエイティブ陣が描く、緻密な心理劇

日本版の上演台本・訳詞・演出を手がけるのは、タカハ劇団主宰の高羽 彩。登場人物の内面を丹念に掘り下げる構成と、詩的でありながら生々しい言葉が、物語に深い奥行きを与えている。音楽監督を務めるのは深澤恵梨香。美しく流れる旋律は、時に優しく、時に鋭く、人物たちの感情をすくい上げ、観客の胸へと直接届ける。音楽は単なる伴奏ではなく、物語を語るもう一つの“言語”として機能している。

実力派キャストが体現する「愛のかたち」

舞台に広がるのは、毒草に囲まれた閉ざされた庭園。
そこに生きるのは、外界と触れることを許されず育った娘・ベアトリーチェ。
芸術家を志しパドゥアを訪れた青年ジョヴァンニは、偶然その庭園に佇むベアトリーチェの姿を目にし、抗いがたい想いを抱く。
決して触れ合うことのできない二人の出会いが、この物語を大きく動かしていく。

芸術家を志す青年ジョヴァンニ役は、林 翔太と北川拓実がWキャストで出演。理想と現実の狭間で揺れる若者の純粋さと危うさを、それぞれ異なるアプローチで体現している。林は、内面に葛藤を抱えながらも理性を保とうとする姿を丁寧に描き、ジョヴァンニの繊細な側面を浮かび上がらせる。

一方の北川は、まっすぐで疑うことを知らない純粋さと、若さゆえの危うさを併せ持つジョヴァンニ像を描き出す。一つひとつの感情に正直であるがゆえに、気づかぬうちに大きな選択へ踏み込んでしまう姿が印象的だ。
同じ人物でありながら、二人のアプローチによってジョヴァンニの見え方は大きく変わり、物語の受け取り方にも豊かな幅を生み出している。

ラパチーニの娘・ベアトリーチェ役の宮澤佐江は、孤独と希望を併せ持つ存在として、舞台上で強い輝きを放つ。触れたいという願いと、触れられない現実。その狭間で揺れる感情が、静かな説得力をもって立ち上がる。

さらに、ラパチーニに仕えるリザベタ役の珠城りょうは、閉ざされた庭園の中で唯一、現実的な視点を持つ存在として物語に深みを与える。
珠城の落ち着いた佇まいと抑えた表現からは、「仕える」という立場の中で育まれてきた献身と迷いが自然に伝わってくる。

一方、医師バリオーニを演じる石井一彰は、理性と正義感を体現する存在だ。
ラパチーニの研究に強い疑念を抱き、科学と倫理の境界線を問い続ける姿は、物語の中で重要なカウンターポイントとなる。
強い信念に裏打ちされた言葉と歌声は、彼自身が信じる「正しさ」を明確に示す一方で、その正義もまた他者を追い詰めかねない危うさを孕んでいることを印象づける。

そして、娘を想うがゆえに悲劇を招く科学者ラパチーニ役を演じるのは別所哲也。
圧倒的な歌唱力と舞台を支配する存在感によって、ラパチーニの内にある父親としての深い愛情と、科学者としての狂気が鮮やかに浮かび上がる。
娘を守ろうとするその想いは決して偽りではなく、だからこそ彼の選択は観る者の胸に重く迫る。
別所の表現は、ラパチーニを単なる「悲劇の元凶」としてではなく、愛と支配の境界で葛藤する一人の人間として立ち上がらせ、本作のテーマを強く印象づけている。

毒草が咲き誇る庭園に差し込む一筋の光。
その美しさに息を呑んだ瞬間から、この物語は静かに、しかし確実に観客の心へと入り込んでくる。
ファンタジーとリアルの境界線で、人間の尊厳と科学の限界、そして“愛と支配のパラドックス”を描くミュージカル『ラパチーニの園』。
観劇後もなお、その余韻と問いは静かに心に残り続ける。

初日会見

ーー初日に向けtての意気込みをお願いします。

石井:このカンパニーは5人しかおりませんので、お互いに支え合い、助け合い、一丸となって本番に挑みたいと思います。

珠城:稽古期間中、キャストだけでなく演出の高羽さんやスタッフの皆さんと一丸となって作ってきた感覚が非常に強い作品です。お客様が実際に入られてどのような雰囲気になるのか、私自身も楽しみながら、引き続き皆さんと心を一つにして頑張りたいと思います。私個人としては、ミュージカル出演が2024年以来となります。楽しみながら舞台に立てればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

宮澤:今日の初日に向けて、カンパニー一同で走り抜いてきたという実感があります。私自身は「もう初日!?」と少しふわふわした気持ちもありますが、作品に必要な緊張感や緊迫感と、その不安な気持ちがうまく相まって、今のステージに立てているなと感じています。キャストの皆さんとお芝居をする中で、一言一句が自然に響き合っているのが心地よく、稽古を重ねながら贅沢な時間を過ごせました。今日開幕する『ラパチーニの園』を、千穐楽に向けてより一層成熟させていきたいと思っております。

別所:初日を迎えるのが楽しみで仕方がありません。お客様がどんなふうに受け止めてくださるのか、今からワクワクしております。皆さんがおっしゃる通り非常に少人数の編成ですが、この中で生まれる新しいミュージカルの物語を、皆さんに楽しんでいただけるようお届けしてまいります。韓国にもこの評判が届くよう公演を重ねていきたいですし、私一人は”毒々しく”演じたいなと思っております。

北川:(※Wキャストのため)今日のゲネプロには出ていなかったのですが、ちゃんとカメラに映してください(笑)。稽古は本当にあっという間でした。素晴らしい共演者の皆さんに囲まれ、さらにWキャストが大先輩の林翔太くんということで、ものすごいプレッシャーでした。稽古が始まった当初は、1ヶ月後の自分がどうなっているのか不安でしたが、無事に今日を迎えられたことに安心していますし、早く皆さんに届けたい気持ちでいっぱいです。グループ活動終了後、初めてお客様の前に立つステージであり、僕にとって大きな挑戦です。ジョヴァンニとしてこの作品の中で生き、最後まで駆け抜けたいと思います。

林:私自身、稽古期間が短かったので不安もありました。拓実くんの稽古動画を見て1人で励んでいたのですが、最初に見た時から「もう完成してるじゃん!」と驚いて(笑)。「明日が初日でもいいのでは?」というほどの完成度だったので、実はすごく焦っていました。後からの合流で、すでに皆さんの空気が出来上がっている中でしたが、温かく迎え入れてくださったおかげで、安心して胸を借りることができました。ようやく初日を迎え、作品をお届けできることにホッとすると同時に、ここから千穐楽まで走り抜けなければと気を引き締めています。素晴らしい実力を持った共演者の皆さんとステージに立てる喜びを噛み締めながら、最後まで頑張ります。

ーー稽古での印象深いエピソードがあれば教えてください。

石井:最初にすごく印象的だったのは、拓実……拓実さんの笑顔ですね。
林:初めて聞きました、”拓実さん”って呼ぶの(笑)。
石井:(笑)。拓実さんの初めて見せた笑顔、その後に合流した翔太さんの笑顔。あぁ、こんな笑顔見たことないなって。お二人の明るさが本当に印象的で、癒やされます。ついていきたいな、と思わせてくれる存在ですね。

珠城:キャストの皆さんがユーモアに溢れた楽しい方ばかりなので、本当に笑いの絶えない現場なのですが、別所さんがこんなにもチャーミングな方だとは思っていませんでした(笑)。具体的にどこが……と言ってしまうと、お客様が観劇中に「あ、このシーンだな」と笑ってしまうかもしれないので伏せますが、とあるシーンで別所さんがラパチーニ以外の役をされる際、ちょっと特殊な役作りでセリフを言われた日があったんです。その回は、我々全員のお芝居が崩壊しました(笑)。(キャスト全員が笑いながら頷く)みんな笑いが止まらなくなって、お芝居の継続が不可能になるほどの『爆弾』を投下されました。

宮澤:拓実くんと1回目か2回目くらいの歌稽古をした時のことなのですが、先に終わって帰られたはずの拓実くんのバッグだけが、なぜか現場に残っていたんです。お手洗いにでも行っているのかなと思って制作さんに聞いたら、「もう帰られましたよ」と。その時、メインのバッグとサブバッグの2個持ちだったと思うのですが、初めて一緒に歌って緊張もしていたのか、サブバッグだけ持って、メインの方を置いて帰っちゃったみたいで(笑)。
北川:貴重品とかも全部そのバッグに入れたまま、台本だけ持って帰ってしまって……(笑)。
宮澤:みんなが集まった時にその話をしたら、石井さんが「バッグなんて持たない方がいいんだよ。全部素手で持ってくるのがいいんだよ」って(笑)。それは果たしていいアドバイスなのかな?と思いつつ(笑)。
石井:カバンは持たない方がいいんだよ。
(一同笑い)
宮澤:だから石井さんはいつも、楽譜と台本を素手で持って現場に来られています(笑)。そんな、拓実くんの可愛らしいエピソードがありました。

別所:本当に素晴らしい仲間の中で学ばせていただいています。まず、主役のジョヴァンニを演じるお二人は本当に爽やかで明るくて……僕もつい5年前はそうだったな、と(笑)。
(一同笑い)
別所:本当にお父さんは嬉しいです(笑)。様々な経験を積み重ねてきた私が、彼らの初々しく真っ直ぐな姿勢から学ばせてもらっています。ベアトリーチェ(珠城さん)はみんなのお母さんのような存在で、カンパニーをまとめてくれています。そしてリザベタとバリオーニの二人は、稽古場ではしょっちゅう駐車場の話をしていましたね。(一同笑い)
林:そんな話をしてたんですか(笑)。
別所:「あそこに駐車場がある」とか「あそこは満車だった」とか。おかげで稽古場周辺の駐車場情報に随分詳しくなりました(笑)。私は決してチャーミングな存在ではありませんが、今回は色々な役をやらせていただいているので、これからも皆さんに『爆弾』を投下し続けられるよう、素直に演じてまいりたいと思っております。

北川:僕は、翔太くんが別の作品の本番で合流するまで、僕がずっと一人で稽古をしていたんですが、翔太くんが立ち稽古に参加した初日のパフォーマンスが本当に素晴らしくて……。あまりの上手さに「僕じゃ無理だ……」と圧倒されてしまったんです。こんなに凄い方々の中で演じるプレッシャーもあり、その日は悔しくて泣きそうになってしまって……。着替え室で一人で『わーっ』となっていたら、石井さんが僕の様子を察してくださって。ポンと肩を叩いて、黙って頷いてくれたんです。
全員:うわーっ! カッコいい!
北川:それで、「お菓子とかあるから、食べなよ」って…
宮澤:お菓子!?(笑)
(一同笑い)
北川:でも、そうやって気遣ってくださったことにすごく救われましたし、『頑張ろう』と思えました。
(石井、アピールするように一歩前に出る。それを見てみんなが笑う)
北川:今日のゲネプロを拝見して、僕も早くジョヴァンニとして舞台に立ちたいという気持ちでいっぱいです。この稽古期間で、自分自身もすごく成長できたと感じています。

――Wキャストとして、林さんのジョヴァンニをみられていかがですか?

北川:翔太くんのお芝居は勉強になることばかりで、「こうすればもっと表現できるんだ」というヒントがたくさんありました。もちろんそれをそのままなぞるわけではありませんが、自分なりにたくさん参考にさせてもらって、良いところをどんどん取り入れながら僕自身のジョヴァンニを作っていこう、という気持ちで取り組んでいました。

ーー林さん、いかがですか?

林:そうですね。別所さんもすごいキャラクター作りをされていましたが、拓実の肩をポンと叩くカッコいい石井さんも、実はすごいんですよ(笑)。
宮澤:本気だから!(笑)
石井:そう、本気だからね
林:(笑)。その役作りを本気でドカンとぶつけた時に、僕、人生で初めて演出家さんがこの言葉を口にするのを聞いたんです……「鼻につく」って(笑)
(一同爆笑)
珠城:言われてましたね(笑)
林:初めて聞きましたよ、「その芝居、鼻につく」なんて(笑)。それがもう面白くて。でも、それぐらい濃いキャラクター作りを徹底してやられていたということなので。
別所:そうそう、そういうこと!
林:いつか僕も、演出家さんに「鼻につくね」と言われるぐらいになりたいなと思います。
石井:……いや、ならない方がいいよ(笑)。
(一同笑い)

――では、最後に林さんからお客様へのメッセージをお願いします。

林:僕たちはWキャストでやらせていただいているので、客席から作品を観る機会もあるのですが、「本当にいい作品だな」と心から思っています。一刻も早く皆さまにお届けしたいですし、もっともっとたくさんの方に観ていただきたいという気持ちでいっぱいです。カンパニー全員でこの作品を成功させ、その先のステップへと繋げていけるような、そんな素晴らしい公演にしたいと思っております。


公演概要
ミュージカル『ラパチーニの園』
【原作】ナサニエル・ホーソーン作 小説「ラパチーニの娘」
【翻訳】吉田衣里
【上演台本・訳詞・演出】高羽 彩(タカハ劇団)
【音楽監督】深澤恵梨香
【配役・出演】ジョヴァンニ:林 翔太/北川拓実 (Wキャスト)
ベアトリーチェ:宮澤佐江
リザベタ:珠城りょう
バリオーニ:石井一彰
ラパチーニ:別所哲也
【日程・会場】
<東京公演>2026年2月20日(金)~3月1日(日)新国立劇場 小劇場
【チケット料金】一般席:12,500円(税込)
※全席指定。未就学児入場不可。
※ご購入後の返金・クレーム及びお席の振替は一切お受けできません。予めご了承ください。
【チケット販売】
<一般発売> 2025年12月14日(日)10:00〜
【公演に関するお問い合わせ】公演事務局 https://supportform.jp/event (平日10:00~17:00)
【公式HP】https://rappaccini.jp/
【公式X(旧Twitter)】@rappaccini_jp #ラパチーニの園