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「Mogut」舞台を生み出す立役者 クリエイターに迫る。

ちょっと、ここだけバナシ。

上演台本・演出 鈴木勝秀さん編

カフェで話しているようなリラックスした雰囲気で、作品を手掛けるクリエイターの方々に話を聞かせてもらう、“ちょっとここだけバナシ。“
今回のプラスな話を届けてくれるは、今月15日より開幕する『Mogut』の上演台本・演出を手掛ける“スズカツ”こと鈴木勝秀さん。
「今、僕が作りたいのはバカ芝居」。そう語るスズカツさんが今回描くのは、ハリネズミ専用ホテルを舞台にしたお話。今回初タッグとなる塚田僚一(ABC-Z)さんの印象や作品を手掛けるにあたってなど、どんな舞台になるのかと想像を掻き立てさせられる言葉の数々に、一足先にスズカツワールドへいざなわれました。ここでしか聞けないお話を、是非、ご覧ください♪

今回の作品の着想のきっかけについてお伺いさせてください。

『ハリネズミホテルへようこそ』という原作を、どういう風にやろうかと思いながら読んでいました。以前に、京本大我(SixTONES)くん主演で『Punk Fantasy Boss Cat』~シャルル・ペロー「長靴をはいた猫」より~」(18年)(以下『BOSS CAT』)をやったんですが、個人的に気に入っているんですよね(笑)。ああいうものをもっとやりたいなと思っていたので、これは非常に『BOSS CAT』的に捉えることできるなと。そういうおとぎ話的なものを自分なりにロックな音楽に乗っけてやったらいいんじゃないかなと思いました。

メインビジュアルはインパクトがあってとても素敵でした。デザイナーさんはスズカツさんとお話をして決めたと仰っていましたがー。

基本的には、デザイナーの方にお任せはしているんですけど、今回はポップアート的なビジュアルにもしたいと思っていたので、その辺のところを(デザイナーさんと)お話をして、こういうものがあるんだというものをお見せしたりしながら、「大体こんな感じ」みたいなことで、できあがってきたビジュアルを見た瞬間、ああこれで全然オッケーと、イメージに非常に近いビジュアルとなりました。

お客様からも”ゲキイケ”と、とても反応がありました。

ああ、それは非常に嬉しいですね。このちょっとモグラの絵が描いてあるのがいいですね(笑)。これが非常にいいんですよ。

上演台本を手掛けるにあたり、気を付けていることなどありますか?

『Mogut』は、原作がしみじみとしたお話しだったんですが、芝居は、あまりしみじみとした感じにはしたくなくて。どちらかというと、明るくて『BOSS CAT』的なバカばっかりしか出てこない、だけど、その裏には何か普遍的なテーマがあるみたいな。原作にも書かれていることですから、そこを生かしていきたいと。だから、うまくそれがハマればいいなと思ってやっています。モグーは原作ではめそめそしたりするんですが、そういうところはなくして、”カラッと明るく元気に生きている”という。僕は、芝居というのは現在と繋がっていないといけないので、こういう時期にどういうメッセージを出すのかというと、世の中が落ち込んでいく中で、”それでも元気に生きていくやつがいる”という、そこですね。そこを一番考えています。

『BOSS CAT』や『ROCK READING「幸福王子」(以下『幸福王子』)』(20年)のように原作があるものを、物語の本質を変えずこんな風に表現するだ!というスズカツワールドに衝撃を受けることが多いです。

まあ、それが仕事ですから(笑)。

(笑)。

演劇のテーマやストーリーが、どうしても文学的な方に寄っていってしまう傾向が日本にはあるんですが、僕はそうじゃないと思っていて。観て、まず面白くなきゃだめで(笑)。「なんか引きずり込まれるな」みたいな。その中にいろんなヒントが散りばめられていて、それを集めていくと、それぞれの人がそれぞれの解釈をしていく。童話なんかは読む人によって違う印象を持っていることが多いんですね。子供の頃にみんなが読み聞かされたり、自分で読んだりしたものを何十年も経ってから話すと、違う印象を持っていたり、結末すら違っていたりすることはよくあることで。それは、その物語を聞いたり読んだりした時に、どういう状態だったかによって全然違うんですね。多くの文学作品でもそうだと思うんですが、それが”じゃあ、どこで繋がるのか”というと、現在、自分が置かれている状況なんですね。それをしっかりと僕が僕なりに感じて、今だったらこういう感じがいいなというところに乗っけていくと、あとのものは自ずと繋がっていくという気がしています。

どんな世界観を見せてくれるのかとても楽しみです。今、まさに稽古の真っ只中ですが、いかがでしょう。

稽古の最初の頃というのは、見るのと同時に、自分の中で上演台本を書いてはいるもののどうなるかというのは実はまだ分かってなくて(笑)。演出家は稽古初日から全部わかっているような態度を取理がちですけど(笑)、実は分かってない。予め考えてはいるけど、例えば、どのタイミングでどんな風に音を入れたらいいのかな、とかは、実際に読んでいる人のリズムやテンポによって変わっていっちゃうし、入れるタイプの音も変わっちゃうんですね。それを考えつつ、みんながどんな風に芝居をするのかなっていうのを見ているような状態です。でもそこが一番面白い。

今回、初共演となる塚田僚一さんの印象は?。

もう、パッと見て「全然問題ないでしょう」っていう感じですよね。ABC-Zのメンバーは戸塚(祥太)くんとか、この間は橋本(良亮)くんとやって、すごく熱心に取り組むということも知ってますし、だから(塚田くんも)きっと熱心に取り組んでくれると思うので。身体能力も高いので、そういうところも生かしつつということを考えると、結構、立体的に楽しいものになるだろうと思っています。そういう感じですから心配するようなことはないし、まあ、誰であっても心配するようなことは大体ないです(笑)。

稽古では、キャストにまずやってもらって、それを何も言わず見ているー。と仰っていましたが、何も言われないというのは逆に不安だなと私なんかは思ってしまいますが・・

最初は大変だと思います。でも、今回は細見(大輔)と田村(雄一)という、僕の作品に何回も出ていてやり方も知っているふたりが稽古場で進んで好き放題にやっていますから(笑)。それを見て、「こういうことでいいのかな」と思って「あ、こういうことなんだ」というものを、見ている僕がへらへら笑っているのを見れば、「こういうのが好きなんだ」って思ってくれるから(笑)。辰巳(琢郎)さんも、元々、”卒塔婆小町(以下そとば)”の人なので、演劇の中でストーリーとか関係なく、バカなことをやるということは十分に知っていて。たぶんそういうことが好きで”そとば”を始めた人ですから、最初に「こういう世界、僕も知らないわけじゃないんで」って仰るから、「そとばでしょ」と言って(笑)。だから、そこは自分が若い頃やった舞台のムードや感覚を思い出しながら好き勝手にやってくれています(笑)。毎日違う感じで。元々、頭のいい方でいらっしゃるから、いろんなこと考えているんだと。それが楽しみですね。

では、お客様にこの舞台が少しでもわかるようなエッセンスを何かいただきたいのですが。

曲がもうできているので、HPでその曲を聴いていただければと思います(笑)。「土の中穴掘ってトンネルつなごう~♪」っていう。このコロナの時期を意識して、「今は一人でもいつかは会えるから、土の中穴掘ってトンネルつなごう」っていう歌詞。

これは歌詞も聴いてほしいですね。

最終的に難しい話はあるんですよ。難しいというかテーマになっていること。でも、そこを強く押すと、「えーそんなに難しいの!?」「何だかわからない!」となってしまう。簡単に言えば、バカ芝居ですから。僕が今作りたいのは“バカ芝居“。ただ、バカ芝居の裏にはちゃんとテーマもあるので、それを穴掘って探してみたら、「あ、こんなこともあった」「あんなこともあった」って見つかるようにしてあります。僕は、原作はいつでもリスペクトはしているんですが、昨年上演した『幸福王子』のオスカー・ワイルドにしても、テキストにすぎないと思っていて。それを基に僕はこういう上演台本を書いて、こういう芝居を作ったということだけで。でも、テキストにすぎないと言っても、本当に非常にリスペクトをしているんですよ。だけれども、テキストにすぎないので、ストーリーではないんだということですよね。ストーリーだけ追っかけると、『幸福の王子』や『長靴をはいた猫』だって「なんだかなあ」ってことになってしまうけど、(京本)大我くんがあの猫をやって、細見だとか周りを固めてるやつらが”バシッ“とやったら、全然子供向けの芝居じゃなくなるし、『幸福の王子』もロックにのせてああやってやれるので、今回もそういうことですよね。特にまた、(大嶋)吾郎くんの音楽が非常にいいんですよ。

そこもすごく楽しみです。

この人はなんでこんな短時間にどんどん書けちゃうんだろうっていうくらい早いしクオリティが高い。田村は『幸福王子』ではメインで歌わなかったけど、今回は「この人はミュージカル俳優だ!」というところを見せつけるような歌も歌うし、もちろん塚田くんも歌う。みんな歌います。音楽だけでも「ああ・・」というような、ベースにあるテーマというものは届くと思う。

『BOSS CAT』も『幸福王子』も、観終わったお客様が楽しかっただけではなくて、「こんな風な見方ができた」「こんな風に捉えた」という感想も多くありました。

それが一番。エンタテインメントってただ観てゲラゲラ笑って、2、3分後に忘れちゃうんじゃなくて、自分で考えることだと思うんです。自分で考える以上のエンタテインメントってなくて。絵を見ても、その絵を見ながら自分の中でいろんなことを考える。小説を読んでも、ストーリーがこうだったというところから、自分が考える。そうすると哲学書でも詩でもテレビでも、自分が考えることができれば、エンタテインメントになりうると思っていて。入口として入りやすいエンタテインメンなのか、入りにくいエンタテインメントなのかというのはありますがね。例えば現代音楽とかだと、すっごく入りにくいところがあるから、考える以前に「ちょっとすみません・・」ってなっちゃたりとか。そこでいうと、『Mogut』の入口は非常に入りやすいと思います(笑)。

確かに入りやすさというのは大事ですよね。

でも僕、入りにくいものも作っているので(笑)。一本前に佐藤アツヒロとやった『YARNS(ヤーンズ)』はめっちゃくちゃ入りにくいやつで。でもそれも大好き。入口が広いのも狭いのも通過してしまうきっかけが、例えば塚田くんだったり大我くんだったり、橋本くんだったりして。それで僕の門を通過していってくれたら本当に嬉しいなと思います(笑)。

スズカツさん、ありがとうございました!

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鈴木勝秀(suzukatz.)
1959年生まれ、神奈川県出身。
87年に“ZAZOUS THEATER(ザズゥ・シアター)”を旗揚げ。97年まで主宰者として構成・演出を務める。現在は、演劇作品から映画、テレビ番組まで幅広いシーンで脚本・構成・演出を手がける。近年の主な舞台に、Rock Opera『R&J』(19年)、『日本文学の旅』(20年)、『ROCK READING「幸福王子」』など。
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【公演概要】
『Mogut』~ハリネズミホテルへようこそ~
【出演】塚田僚一(A.B.C-Z)/細見大輔、菅原りこ、田村雄一/辰巳琢郎
【原作】鈴木舞
【上演台本・演出】鈴木勝秀
【音楽】大嶋吾郎
【日程・会場】
<大阪公演>2021年1月15日(金)~1月17日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
<東京公演>2021年1月21日(木)~1月31日(日) 品川プリンスホテル ステラボール
【チケット料金】全席指定9,500円(税込) ※ご購入後の返金・クレーム及びお席の振替は一切お受けできません。予めご了承ください。
【お問合せ】
<東京公演>キョードー東京:0570-550-799(オぺレーター平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)
<大阪公演>キョードーインフォメーション:0570-200-888(平日・土曜11:00~16:00)
【公式HP】https://mogut-stage.com/
【公式twitter】@Mogut_st