常に自分と向き合う勇気を胸に秘めて。ミュージカル『ジェイミー』で森崎ウィンが見つけたい自分らしさ

2017年、イギリスで上演されるやいなや、大ヒットを記録したミュージカル『ジェイミー』が、2021年8月8日(日)より、東京建物Brillia HALLにて、日本初演を迎える。
本作はイギリスのBBCで放送されたドキュメンタリー「Jamie:Drag Queen at 16」を元にしたミュージカル。イギリスでの初演後、ブロードウェイとウエストエンドにも進出。また、映画化も決定している。ドラァグクイーンを夢見る16歳の高校生ジェイミーが、幾多の困難にめげず未来へ向かって突き進む果敢な姿が描かれる。
主演のジェイミー役は、森崎ウィンと髙橋颯(WATWING)のダブルキャスト。ジェイミーの母親のマーガレット役は安蘭けい。ヒロインのプリティ役は田村芽実と山口乃々華のダブルキャスト。ジェイミーと敵対するディーン役を佐藤流司と矢部昌暉(DISH//)ら、錚々たるメンバーが揃った豪華なカンパニー。そんな舞台でジェイミー役を演じる森崎ウィンに話を聞いた。

――『ウエスト・サイド・ストーリー』(2020年)以来のミュージカル作品に戻ってきます。本作への出演が決まった時のお気持ちを聞かせてください。

とても嬉しかったですね。『ウエスト・サイド・ストーリー』に出演してみると、もっとミュージカルにチャレンジしてみたい気持ちが芽生えたんです。あの作品で得たものは大きすぎて、自分の中でまだ言語化できないほどですが、体の中にはあの時の素晴らしい経験が蓄積されています。

――ここまでの稽古の手応えはいかがですか。

僕が演じるジェイミーのことを理解したと感じる部分もあれば、これから突き詰めなければいけないところもあって。ただ、あと1ヶ月稽古があるので、焦らずじっくり落ち着いて丁寧に役を作り上げたいですね。演出家のジェフリーさんも「時間はあるから急がずに、お芝居をして1回上手く通ったシーンでも、違う選択肢にチャレンジしてみよう」とおっしゃっていて。稽古をするたびに、毎回新しいお芝居ができるように準備をしておきたいです。

――ここまでの稽古を経て、森崎さんが演じるジェイミーはどんな役だと思いますか。

ドラァグクイーンになることに奔走する16歳の男の子ですが、彼の中には大きなトラウマがあります。そのトラウマと向き合いながら、これからの未来をどうやって生きていくのか悩む人生の過渡期を迎えた少年の物語でもあります。彼は外面的には明るく振舞っていますが、抱えている傷がとにかく深いんです。僕も脚本や歌や稽古を通してその傷と接し続けているので、まるで自分と向き合っているような錯覚に陥って怖くなることがあるほどで。

――なるほど。森崎さんなりの役作りが垣間見えます。

そうですね。僕はどんな役でも、リアリティーを持たせるために、役と自分をリンクさせることを心がけています。ただ、作品のストーリーと同じシチュエーションは現実になかなか起きないので、「あのときの自分に似ているな」と僕の人生で起きた実際の出来事を振り返りながら、役が置かれた状況に当てはめていく。今作においては、ジェイミーの家族が抱える問題と自分の家族を照らし合わせたりしています。表面だけでジェイミーを捉えないように、自分と真摯に向き合う作業も大切だと思っています。

――ジェイミーは学校の規則や父親と戦いながらと“自分らしさ”を求めていますが、ご自身と似ている部分はありますか。あるいは森崎さんの“自分らしさ”は何だと思いますか。

人前で明るくする性格は僕と似ていますね。いろいろな問題を自分なりに乗り越えていくと、自信とかがついて、人前で明るく振る舞ってしまうことって皆さんにもありますよね。僕にとっての“自分らしさ”は、負けず嫌いな性格で、着地点も見ずに思わず「やっちゃえ!」とチャレンジしてしまうところかな(笑)。ジェイミーの曲に「自分を乗り越えられるのは自分だけ」という歌詞があります。僕がその歌詞に共感してしまうのは、常に自分自身と戦うことが大切だと思っているからで。生きていればさまざまなトラブルが降りかかりますが、それを乗り越えるために目一杯に苦しむ。辛い瞬間を乗り越えないと、舞台であれば作品も役も深まらない。自分と戦い続けていると、ある時ふと「こういうことかもしれない」という発見があるので、そこを目指して歩み続けるところがジェイミーと僕に共通しているし、“自分らしさ”だと思います。

――今作のナンバーはいかがでしょう。

ノリの良いポップスが多いので、これまで出演したミュージカルのナンバーとは違った手応えがあって歌っていると楽しいです。今作においてポップなナンバーは、作品の世界観を作る上で重要な要素になっています。こんなに歌うだけで楽しめるポップな曲が集まっているのに、お芝居とセットになって初めて作品のナンバーとして成立し、きちんとミュージカルになっているので感動します。やっぱりミュージカルは、歌も踊りもお芝居も、すべてをその場で表現することで成立する総合芸術だと感じます。

――このミュージカルの大切なポイントはどんなところだと思いますか。

今作は、ジェイミーが内面を見つめ直し、困難があればそれを乗り越え、自分らしく突き進んで行こうと決意する瞬間が最も美しく僕には見えるんです。脚本を読んだときから、そんなジェイミーの勇気ある姿に心を動かされましたね。

――それでは、最後にお客様にメッセージをお願いします。

思い切り楽しめるミュージカルです。ジェイミーが人生をかけて一歩一歩突き進んで成長していく様を感じていただけるように僕らは頑張ります。お客様は、劇場を出た瞬間に、背中を押されて勇気づけられているような気持ちになってくだされば嬉しいです。

森崎ウィン(もりさき・うぃん)
1990年8月20日生まれ、ミャンマー出身。2008年にテレビドラマ『東京少女桜庭ななみ』で俳優デビュー。2018年に映画『レディ・プレイヤー1』でハリウッドデビュー。また、2020年には「MORISAKI WIN」名義でアーティストとしてメジャーデビュー。主な出演舞台に『3次元の彼女〜Z〜』、『大西洋レストラン』、『CLUB SLAZY The 3rd invitation〜Onyx〜』、『グラファー』、『HOME〜魔女とブリキの勇者たち〜』、ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』日本キャスト版 Season2などがある。出演待機作として、主演のピピン役を演じるミュージカル『ピピン』(2022年8月上演予定)がある。

取材・文 / 竹下力


公演概要
ミュージカル『ジェイミー』
【出演】
ジェイミー・ニュー:森崎ウィン/髙橋颯(WATWING)
マーガレット・ニュー:安蘭けい
プリティ:田村芽実/山口乃々華
ディーン・パクストン:佐藤流司/矢部昌暉(DISH//)

ファティマ:伊藤かの子
ミッキー:太田将熙
サイード:川原一馬
サイ:小西詠斗
ベックス:鈴木瑛美子
ヴィッキー:田野優花
ベッカ:フランク莉奈
リーバイ:MAOTO
(五十音順)

ミス・ヘッジ:樋口麻美
ミス・ヘッジ(女性役U/S):実咲凜音
トレイ、ライカ(男性役U/S):永野亮比己
※U/Sアンダースタディ

ライカ・バージン:泉見洋平
トレイ・ソフィスティケイ(ヒューゴ/ロコシャネル役カバー):吉野圭吾

レイ:保坂知寿
ジェイミー父/サンドラ・ボロック:今井清隆
ヒューゴ/ロコシャネル:石川 禅

学生役SWING:
亀井照三
笹尾ヒロト
佐藤みなみ
山村菜海

【音楽】ダン・ギレスピー・セルズ
【作】トム・マックレー

【日本版演出・振付】ジェフリー・ペイジ
【翻訳・訳詞】福田響志
【日時・会場】
<東京公演>2021年8月8日(日)~29日(日)東京建物Brillia HALL
<大阪公演>2021年9月4日(土)~12日(日)新歌舞伎座
<愛知公演>2021年9月25日(土)~26日(日)愛知県芸術劇場 大ホール
【チケット料金】
東京公演:S席 12,800円(税込)/A席 9,000円(税込)/B席 6,000円(税込)/Go Jamieチケット:6,800円(※25歳以下対象・当日引換券・要証明書・税込)※未就学児童入場不可
大阪公演:S席 12,800円(税込)/A席 9,000円(税込)/B席 6,000円(税込)/特別席(2階最前列) 14,000円(税込)※未就学児童入場不可
愛知公演:S席 13,000円(税込)/A席 10,000円(税込)/B席 7,000円(税込)※未就学児童入場不可
【お問合せ】
東京公演:ホリプロチケットセンター:03-3490-4949
大阪公演:新歌舞伎座テレホン予約センター:06-7730-2222
愛知公演:キョードー東海:052-972-7466
【公式HP】https://horipro-stage.jp/stage/jamiemusicaljp2021/
【公式twitter】@jamiemusicaljp