「今のありのままの私を皆様にお見せしたい」。望海風斗が挑むミュージカル『INTO THE WOODS』への熱き想い

さまざまなおとぎ話に新たな解釈を加えてひとつの物語として紡ぎ、大人向けのファンタジーとして創り上げたミュージカル『INTO THE WOODS』が、2022年1月11日(火)より東京を皮切りに上演される。本作は、『ウエスト・サイド物語』、『太平洋序曲』、『スウィーニー・トッド』など、多くの名作ミュージカルを手掛けたスティーヴン・ソンドハイムの作詞・作曲。そして、長年の盟友でもあるジェームズ・ラパインの脚本により、1986年に発表され、87年にブロードウェイで初演された今でも多くの人に愛される大ヒットミュージカル。
演出は、クラシック音楽やオペラにも造詣が深い熊林弘高が初めてミュージカルに挑む。出演は、羽野晶紀、古川琴音、毬谷友子、湖月わたる、朝海ひかる、廣瀬友祐、花王おさむ、福士誠治、あめくみちこ、鈴木玲奈、渡辺大輔、福井貴一、渡辺大知、瀧内公美、麻実れい(声の出演)など錚々たる顔ぶれ。
そんな作品で、魔女を演じる望海風斗に、本作にかける意気込み、宝塚歌劇団退団後初のミュージカルとなる心境を聞いた。

――ミュージカル『INTO THE WOODS』は、望海(風斗)さんにとって宝塚歌劇団退団後、初めてのミュージカルになりますね。

宝塚を退団して1作目にどんな舞台に出演するのかを考えていて、本作と魔女役に巡り合う機会をいただいた時に、私の俳優人生にとって大切な作品になると感じました。宝塚時代に男役で追求してきたことに繋げられる役だとも思いましたし、チャレンジしたいと出演を決意しました。

――ここまでの稽古の手応えはいかがですか。

すごく充実したお稽古です。お稽古をすればするほど、まさに森の奥に進んでいくような(笑)、お芝居がまとまらない感覚になっていくんです。ですが、私だけでなくカンパニーにとってもそれが大切だと思っていて。そのまとまらない感覚がどんどん広がって、本番になって収束してひとつの作品として皆様に提示した時には、本作からとてつもないエネルギーを発していると思います。その日に生まれる新たなお芝居も多くて刺激的な稽古場なので、今は何が起こるのかわからない状態を楽しみながら毎日お稽古をしています。

――演出を担当される熊林弘高さんの印象はいかがですか。

発せられる言葉すべてが新鮮です。熊林さんは「魔女を魔女らしく演じないようにしよう」とおっしゃってくださいました。“魔女だからこうしなければいけない”という固定観念を捨てて、私自身をさらけ出すようなお芝居を追求して欲しいと託されたと思っています。シーンによって的確なアドバイスをいつもいただくのですが、これまでの舞台や映画で積み重ねてきた魔女役のイメージの“分母”を固定させつつも、演じる側の“分子”の私は、稽古場で起こった出来事に対して臨機応変に対応していく瞬発力を求められて、分母以上のこれまでにない魔女になるための熱量が必要でやりがいがあります。そうやって日々奮闘しているおかげで、私の根底にある“自分らしいお芝居”を再発見できましたし、熊林さんのアドバイスに感謝しています。

――熊林さんや新しいカンパニーの皆さんとの出会いを通して宝塚時代と役作りは変わりましたか。

大きく変わりました。宝塚時代は、役の性格や背景を分解していくように役作りをしていたのですが、今作はプランを立てずに、カンパニーの皆さんのエネルギーを受け取って、瞬間、瞬間の私自身のエネルギーの放出を大切にしながら演じています。魔女は今のありのままの自分で挑まないと演じることができない役だと思ったので、最終形を決めてしまわずに、私の出せるものを出し尽くして、最後には何も残らない状態まで演じ切りたいです。そうして楽しみながらお稽古を積み重ねて、皆様に私らしい魔女をお見せしたいと思っています。なにより、百戦錬磨の方々に囲まれながら、さまざまな挑戦をされているのを目の当たりにして刺激をいただいているので充実しています。

――稽古を積み重ねながら、魔女はどんな役だと思うようになりましたか。

とてもチャーミングで、私にピッタリの役かもしれません(笑)。私はどんな役に対してもチャーミングさを大切にして演じたいと思っています。そうしないと役の一番の良き理解者に繋がらないと考えてしまうんです。魔女は見た目が怖くて、欲深くて、いらぬ事件を巻き起こしてしまうけれど、どうしても憎めない役にしたいので、今作での魔女の売りを一言で言うと“チャーミング”になりますね(笑)。

――(笑)。本作で思い入れのあるナンバー、そして作曲・作詞のスティーヴン・ソンドハイムさんの魅力を聞かせてください。

物語の終盤で魔女が思いの丈を朗々と歌う「ラスト・ミッドナイト」は思い入れが深いです。名曲揃いのソンドハイムさんの曲はどれも歌いこなすのが難しいですね。私はこれまで歌に向き合ってきて、最初に音程をきちんととることを意識して歌っていたのですが、本作のナンバーは音程をとるのが難しくて、予想外の展開もするので、私の想定する歌い方ではダメだと感じ始めていて。本作では、技術的なことよりも、私の内面から湧き出た自然な言葉の延長線上が歌になっているように心がけて、その日、その時に見合った役の感情を相手役の方にしっかり届けたいと思います。私も含め、それぞれの方が抱くソンドハイムさんの楽曲の難しさがあるはずなので、その分、歌う方によってアプローチの仕方も違うし、曲のカラーがガラリと変わる。そこがソンドハイムさんの楽曲の魅力だと思います。

――2022年も、望海さんはたくさんの舞台への出演が決まっていますが、新たな一歩を踏み出した俳優・望海さんの今後はどのようになっていくと思いますか。

どう変わっていくんだろう……楽しみばかりで(笑)、やっぱり今作を含めて多くの方々との出会いに感謝しながら新たな“望海風斗”になれたら嬉しいです。大切にしたいのは周りの出来事に身を委ねて、簡単に結論を決めないことだと思います。宝塚ではずっと一緒に演じてきた仲間たちと公演を続けてきましたが、これからは作品によってカンパニーもキャストの方々も変わります。なので、自分の培ってきたものを大切にしながら、流れに身を任せて、私の中で何が生まれるのか期待しながら前進していきたいです。

――今作の見どころを教えてください。

お客様は私たちキャストのお芝居を観にきたはずなのに、いつの間にか森の中を彷徨って、ふと気づくとご自分の人生を見つめ直しているような不思議な感覚を味わうことができると思います。劇場からお帰りいただく時には、ご自身の人生にとって大切な何かを発見できる気がします。おとぎ話を元にしたファンタジーですが、皆様の日常に寄り添ったお話でもあるので、水を飲んだり、息を吸うのと同じような親近感のある作品になっているところが見どころだと思います。

――それでは、最後にお客様にメッセージをお願いいたします。

舞台上で起こるどんな些細なことでも皆様の印象に残るような作品にしようとカンパニーみんなでお稽古を頑張っているので、劇場で今作をご覧になって、本作から溢れるエネルギーを体感していただきたいです。

プロフィール
望海風斗(のぞみ・ふうと)
10月19日、神奈川県出身。2003年宝塚歌劇団に89期生として入団し、2017年には雪組トップスターに就任。『ファントム』、『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』、『fff-フォルティッシッシモ-』などに出演。また、「anan」創刊50年の歴史の中で現役トップスターとして初の表紙となり、歌手としてナオト・インティライミプロデュース「夢をあつめて」を配信リリースし、iTunesチャートで1位を獲得するなどの快挙を成し遂げる。2021年4月に退団後、自身初の単独での全国コンサートツアー『SPERO』では5万人を動員。『INTO THE WOODS』は退団後初のミュージカル出演となり、今後の出演待機作には、ミュージカル『next to normal』(2022年3月上演予定)、ミュージカル『ガイズ&ドールズ』(2022年6月上演予定)がある。

取材・文 / 竹下力


公演概要
ミュージカル『INTO THE WOODS』
【出演】※物語ごとの50音順
赤ずきん:羽野晶紀(赤ずきん)
シンデレラ:古川琴音(シンデレラ)/毬谷友子(継母)/湖月わたる(継姉フロリンダ)/朝海ひかる(継姉ルシンダ)/廣瀬友祐(王子)/花王おさむ(執事)
ジャックと豆の木:福士誠治(ジャック)/あめくみちこ(母親)
塔の上のラプンツェル:鈴木玲奈(ラプンツェル)/渡辺大輔(王子)
ナレーター・謎の男:福井貴一
パン屋:渡辺大知(夫)/瀧内公美(妻)
魔女:望海風斗
巨人(声の出演):麻実れい

<スウィング>
則松亜海 杉浦奎介
※全公演出演いたします。

<パフォーマー>
(50音順)
井上尚子 梶田留以 児玉彩愛 渋谷亘宏 西田健二 矢嶋美紗穂 吉﨑裕哉

【作曲・作詞】スティーヴン・ソンドハイム
【作】ジェームズ・ラパイン

【演出】熊林弘高
【翻訳・訳詞】早船歌江子
【音楽監督・指揮】小林恵子

【主催】梅田芸術劇場/ぴあ
【企画・制作】梅田芸術劇場
【日時・会場】
<東京公演>2022年1月11日(火)~31日(月)日生劇場 ※11~12日はプレビュー公演予定
<大阪公演>2022年2月6日(日)~13日(日)梅田芸術劇場メインホール
【チケット料金】
東京公演:S席 13,500円/A席 9,000円 ※全て税込み価格 ※未就学児童入場不可 ※プレビュー公演は各席種1,000円引き
大阪公演:S席 13,500円/A席 9,000円/B席 5,500円 ※全て税込み価格 ※未就学児童入場不可
【お問合せ】
東京公演:梅田芸術劇場:0570-077-039
大阪公演:梅田芸術劇場メインホール:06-6377-3800
【公式HP】https://www.umegei.com/itwoods2022/
【公式twitter】@umegei_jp