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関ジャニ∞安田章大 唐十郎が愛した歌をお披露目『少女都市からの呼び声』囲み取材レポート公開

HEATER MILANO-ZaオープニングシリーズCOCOON PRODUCTION 2023『少女都市からの呼び声』が、7月9日より幕を開ける。

4月14日(金)に新宿の新たなランドマークとして開業する「東急歌舞伎町タワー」。その6階に誕生する新劇場「THEATER MILANO-Za」のオープニングシリーズとして、5月上演『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』、6月上演『パラサイト』と話題作を次々に発表してきたBunkamuraが7月に上演するのは、唐十郎の傑作戯曲『少女都市からの呼び声』。

本作は、1969年初演の『少女都市』を改作し、1985年、新宿スペースDENにて劇団状況劇場が初演。その後1993年、劇団状況劇場出身でもある金守珍が、自身が主宰する新宿梁山泊公演で上演し、文化庁芸術祭賞を受賞した。フランスのアヴィニョン演劇祭をはじめ、カナダやアメリカ、オーストラリアなどでも上演され、海外でも高い評価を受けている演目である。

今回演出を務めるのは、前出の劇団・新宿梁山泊主宰の金守珍。唐十郎と蜷川幸雄の両虎を師とし、アンダーグラウンド演劇に真正面から取り組んできた金が、アングラの醍醐味の猥雑さと詩情豊かで幻想的な唐の劇世界を美しく昇華させる。

主演を務めるのは関ジャニ∞の安田章大。昨年上演された『閃光ばなし』以来の舞台出演となる安田は、これまでテント芝居で唐作品に幾度となく触れ、憧れを抱いていた。どこか神秘的で静謐な空気感を纏う彼が、唐作品特有の幻想的な世界観と融合しどのような化学反応を起こすのか、満を持しての参加となる。ヒロインは元宝塚歌劇団雪組トップ娘役で、本作で初のストレートプレイに挑戦となる咲妃みゆ。そして、三宅弘城が共に唐作品に初挑戦する。さらに、風間杜夫が作品の屋台骨となり支える。そして唐ワールドを構築する上で欠かせない手練れの俳優陣も勢揃いし、求心力あるアングラ演劇の世界を上演する。

初日を前日に控えた8日、開幕前取材会が行われ、安田章大、咲妃みゆ、三宅弘城、風間杜夫、金守珍(演出・出演)が登場。それぞれより本作への思いが語られた。

――いよいよ初日を迎えますが、安田さんいかがでしょう。

安田「唐十郎さんの作品を、ほぼ真逆であるジャニーズ事務所の安田章大が今回お届けできる。そして、THEATER MILANO-Zaオープニングシリーズの第3弾目ということで、みんで唐さんの作品を日本だけじゃなく世界に届けられるレベルで仕上げてきたかなと思っている次第です」

――憧れの唐十郎さんの作品ですが。

安田「嬉しい限りです。(僕の)表情を見てもらったら一番伝わると思いますが(笑)、幸せですね。なにより金さん、風間さんといった先輩たちが受け継いでいる唐さんのエネルギーを受け継がないといけない年齢に至っていると思うので、それを次に繋ぐという意味でここに入れている自分はとても幸せな状況にあるんだなと実感しています」

――稽古を積んできて苦労してきたところはありますか?

安田「それはもちろんあります。なんて素敵な戯曲なんですか。ということですからやっぱり理解しきれない部分もあります。なんせ唐十郎さんの脳みそを覗いているわけですから。でもそれがすごく楽しいんです。儚く美しくその先にある唐さんの世界観が覗けるので」

――充実しているお顔をされていますね。

安田「充実してますね。本当に思っているんですよね。ジャニーズ事務所はすごく大きな事務所ですから、唐十郎さんという世界を広げていくためには、とても素敵な大きな場所であり、届けられる立ち位置にいるんだなと考えていて。これから金さんや風間さん皆さんと(作品に)関わっている僕たちで唐さんのすごさや大切さを途切れさせないようにしていこうと、今回改めて決めました。だから今回の作品で終わるのではなくすぐ先にまたやってやろうなんて思っています」

――金さんとすればとても嬉しい言葉ですね。

「嬉しいですね。唐十郎作品はアングラとして世の中に伝わっていますが、唐さんはアングラと名乗ったことはないんです。逆に世間がアングラと揶揄しているところがあって。風俗として消えるものだと。この『少女都市から呼び声を』は40年近くやってきまして、今回やっと答えが見つかった完成品です。それくらい自信を持って皆さんにお届けします。唐ワールドというのはファンタジーの中にホラーもある、“ファンタジックホラー”としてアングラがこれから若い人たちや次の世代の人たちに伝わったら僕の役目は終わるのかなと。あとは安田くんに任せて(笑)、思いっきり羽ばたいていただきたいと思っています。次の世代という意味では、安田くんがこれを受け入れたことが大きな転換期になると思います」

――安田さん、金さんの言葉を噛み締めている感じですが

安田「本当に大切な役目だと思うんです。僕はこれをまた・・今回男性キャストでいうと8歳下の細川岳がいるんですけど、それをまた岳が受け継がないといけないと思いますし、若い子たちが唐さんの文化を受け入れて広げていく。すると10代や20代の子たちが唐さんというワールドをしっかり自分の血液の中に送り込むことができるんじゃないのかなと思います」

――風間さんからみて唐さんの作品、そして金さんの演出の魅力はどこにあると思われますか?

風間「僕は唐さんの作品は4本目なんですが、いずれも金さんの演出です。唐戯曲というのは非常に一片の詩みたいなところがあって。その詩の世界を見事に現実化するというか可視化する。その金守珍の演出力に僕は圧倒されました。今回も出させていただいてますが、機会があればやっさんと一緒にね。また次もまた次もと・・気持ちは高ぶっています」

――安田さんを“やっさん”と呼ばれているんですか?

風間「はい。やっさんです(笑)」
安田「9年前からやっさんと呼んでくれてます」
風間「9年前に親子をやってるんです」

――今回久しぶりの共演で再会されていかがでしたか?

風間「ひと回りもふた回りも大きく・・体は大きくなってないけど(笑)」
安田「体は小っちゃいままだなあ(笑)」
一同笑い
風間「でも芝居に対する構え方が本当に素晴らしい成長をされて、頼もしいです。三宅くんとも親子をやってるんです」
三宅「一昨年ですね。あの・・すごく仲の悪い親子を・・」
一同笑い

――今回はいかがですか?

三宅「(衣裳を指して)恰好はちょっとおかしなことになってますけど(笑)、初演で唐十郎さんが麿赤兒さんに当て書きをしたというフランケ醜態博士という役なんですけど、そのあとほぼ40年一回くらいですよね。(金さんが)演出をやらなかったのは?」
「はい。やっと受け継いでもらえます。素晴らしいです」
三宅「その重圧に押しつぶされそうに・・ほぼ押しつぶされてたんでけど・・」
安田「あはははは」
三宅「安田くんと咲妃さんと風間さんのお力をお借りしながら、金さん演出のもとなんっとかちょっとだけ僕なりのフランケンができたのかなと・・あとは、このTHEATER MILANO-Zaで、『少女都市からの呼び声』をお客様と一緒に作っていきたいです」

――咲妃さんはストレートプレイも初めてということですが、今回のこの役を演じられていかがですか?

咲妃「お稽古から今日まで本当にいろいろなことがありました。自分の中で課題がたくさんだったんですが、その中でもどんどん唐十郎さんの魅力の虜になっていく自分が確実にいて、毎日ワクワクしながらお稽古をさせていただきました。金さんを始め、先輩方がたくさんアドバイスをくださる中で、少しずつ自分の中で肉付けされていく雪子を楽しみながら今日まできました」

――咲妃さんからご覧になって安田さんはどんな印象ですか?

咲妃「もともとすごくストイックな方だという印象を抱いていたんですけれども、その印象は変わらずにいました。あと目配り気配りが大変生き届いていらっしゃり、妹役を演じさせていただいていても感じますし、お稽古場で共演者の方やスタッフの方への何気ないお声掛けにもすごく温かみが感じられて、人柄としてもすごく尊敬しています」

――具体的なエピソードで思い出されることはありますか?

咲妃「健康管理をすごくきちんとされていらっしゃるんだなと感じて。お稽古場にも早くからいらっしゃって体づくりをなさって本稽古に挑まれている姿をよくよくお見かけしましたし、体調を整えるグッズをたくさんお持ちだなあって・・(笑)」

――どんな物を持っているんですか?

安田「なに持ってるんやろ?」
咲妃「マットとか」
安田「マットは大体みんな持ってるやろ(笑)」
一同笑い
咲妃「ゴロゴロとか」
安田「あ。ゴロゴロかあ。たしかに体を壊したこともあるので、それでケアをしとかないと100%、120%のパフォーマンスができないのは来てくださる方に申し訳ないと思う部分もあるからじゃないですかね」

――金さん、今回安田さんということで演出が変わったということを伺ったのですが。

「いっぱいあります。この作品の戯曲にはないんですが、今回唐さんが大事にしている劇中歌が増えました。今日稽古をしまして今日が完成品ですね。唐さんが歌っているくらい素敵なんですよ。むかし根津甚八さんが歌っていた『さすらいの唄』という歌で、それを今日お披露目というか。僕も今日通しで初めて見ます」
安田「稽古が全部終わったあとに決まったことなんですよ」
「あるシーンについて風間さんのひと言でピンときて。何かしないといけない!と思って歌だ!思って安田くんに連絡したら“歌います”って言ってくれて。本業は歌手ですから。これね。ファンの方はイチコロになりますよ」
安田「ハードルを上げちゃだめですよ」
一同笑い
「語りが入る歌で、唐さんが一番愛していた歌です」

――安田さんは何日でその歌を入れ込んだんですか?

安田「一日です」
一同驚き

――歌を入れようとなったのはいつだったんですか?

「三日前です。翌日にはOKをもらって作曲家が一生懸命カラオケを作って」
安田「なので作曲家さん、アレンジさんが大変だと思います(笑)」
「今日またアレンジして、今日できてさっき聴いたらもうバッチリでした」

――風間さんはすごい意見を仰ったんですね。

風間「僕のひと言で(笑)。やっさんはもっとカッコ良く凛々しく出なきゃダメだと」
安田「そう教えてくださったのでそこからいろんな意見が派生して」
風間「これで4人全員ソロがあるね。一曲ずつ」
金「咲妃さんの歌も最高です!『氷いちごの唄』も咲妃さんのために作曲し直しました。今回、オリジナル曲は全部Newバージョンです。楽しみにしていてください」

――THEATER MILANO-Zaでやられてみていかがですか?

「素晴らしいです。ここでしかできないものを作りましたので。シアターコクーンも素晴らしかったですし、そこで培ったものこの劇場でやれることを思い切り楽しんでいます。歌舞伎町でやるのもワクワクしますよね。かぶく町にしましょう!」

――安田さん改めて意気込みをお願いします。

安田「今まであった作品が少しずつ色を変えながら、エンターテインメント性も含まれつつ、過去の大事なものは残しつつ、進化しながら変化していく。そうすることによって文化というものはすたらないでしょうし、これからも語り継がれるのかなと思っています。今回がスタートなので、これを機に2回目、3回目と続けていくための準備、そして皆さんに対しての僕たちの誠心誠意というものを受け止めてもらえたらなと思っています。とにかく唐十郎さんの世界、金守珍さんの演出の世界を楽しんでいただきたい。今しか観れないものになっていると思います」

舞台写真

囲み取材【撮影:大久保恵造】
舞台写真【撮影:細野晋司】

【あらすじ】
手術台に寝かされている男―田口(安田章大)。親友の有沢と、その婚約者のビン子が付き添っている。看護婦は有沢に、田口の体の一部を取り除くか迫る。その体の一部とは、誰の物ともわからぬ髪の毛。有沢が看護婦からの問いに窮する中、田口は、妹を探しに夢の世界へと旅に出た。
田口は妹である少女―雪子(咲妃みゆ)と再会を果たすも、彼女は右手の指を3本も失ったばかりか、フィアンセであるフランケ醜態博士(三宅弘城)によって体をガラスに変える手術を施されていた。隙を見て雪子を連れ出そうとする田口だが、指を手に入れるまで出られないと雪子は言う。田口は、己の2本の指を切り落とし雪子に渡したが、フランケ醜態博士に阻まれ銃で撃たれる。そこで気づく。最後に切るはずだった指は、己の体のことだったと。そして、雪子は有沢の前に姿を現し——。


THEATER MILANO-Zaオープニングシリーズ/COCOON PRODUCTION 2023
『少女都市からの呼び声』
作:唐十郎
演出:金守珍
出演:
安田章大、咲妃みゆ、三宅弘城、桑原裕子、小野ゆり子、細川岳
松田洋治、渡会久美子、藤田佳昭、出口稚子、板倉武志、米良まさひろ、
宮澤寿、柴野航輝、荒澤守、山﨑真太、紅日毬子、染谷知里、諸治蘭、本間美彩、河西茉祐
金守珍、肥後克広、六平直政、風間杜夫

【日程・会場】
<東京公演>2023年7月9日(日)~8月6日(日)THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)
※風間杜夫出演=7月9日(日)~7月31日(月)まで/金守珍出演=8月3日(木)~8月6日(日)
チケット料金:S席12,000円 A席9,500円(税込・全席指定・未就学児童入場不可)
発売日:2023年6月10日(土)10:00~
お問合せ:Bunkamura 03-3477-3244(10:00~18:00) www.bunkamura.co.jp
東京公演主催:Bunkamura、TSTエンタテイメント

<大阪公演>2023年8月15日(火)~22日(火)東大阪市文化創造館Dream House 大ホール
※全公演、金守珍出演
チケット料金:S席12,000円 A席11,000円(税込・全席指定・未就学児童入場不可)
発売日:2023年7月9日(日)10:00~
お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(11:00〜18:00※日祝は休業)
大阪公演主催:サンライズプロモーション大阪
大阪公演共催:PFI東大阪市文化創造館株式会社

企画・製作:Bunkamura