三浦涼介「レゴシは共感できる部分が多いキャラクター」Reading Musical「BEASTARS」episode1
『週刊少年チャンピオン』で2016年から2020年まで連載された板垣巴留による漫画『BEASTARS』。擬人化された動物たちが生活する世界を舞台にした群像劇で、全世界累計発行部数1000万部を超える人気作だ。
2024年に「Reading Musical『BEASTARS』」として舞台化された本作が、新たなキャストを迎え、「Reading Musical「BEASTARS」episode1」として上演される。今回の公演において主人公・レゴシの読み手・歌い手を務める三浦涼介にインタビューを行った。
――まずは出演が決まった時の思いを教えてください。
僕は二十数年このお仕事をさせていただいていますが、基本的に役者の仕事というのは自分から動かないと取れないと思っています。その中で、「ぜひ」とオファーをいただけるのは当たり前のことではないと思うので、すごく感謝しています。今回共演する皆さんは前回も出演されている方、新たに参加される方さまざまですが、そこで主演を務められるのも純粋にありがたいです。以前のお仕事でご一緒したプロデューサーさんもいて、ご縁が繋がっているのも嬉しいですね。
――『BEASTARS』という作品から、どんな印象を受けましたか?
僕は正直、小さい頃から漫画やアニメに触れずに生きてきました。でも、最近では2.5次元舞台に出演することも多く、原作ファンの方の熱量や愛情を感じます。 『BEASTARS』はとても面白そうだという印象を受け、勉強している最中です。キャラクターはみんな動物ですが、本当に人間らしさを感じる作品だと思います。
――ご自身が演じる、ハイイロオオカミのレゴシについてはいかがでしょう。
とても自分に似ているのかなと思います。僕は小さい頃からなるべく目立たずに生きたいと思っていたというか、母や兄たちの後ろに隠れているような子でした。その中で見えていた風景が自分の強みになっていったりして。影を隠そうとすればするほど生まれた感情というのは、レゴシと繋がる部分があるのかなと思っています。
何かのために一生懸命生きるとか、使命感に駆られる感じとか、自分なりに生き方を見つけていく姿に共感できます。もちろんもっと器用に生きたいと思うことも多いけど、なかなかできないんですよね。その中で僕が二十数年この世界でお仕事できているのは、支えてくれるみなさんのおかげだと思います。レゴシも周りの仲間によって変わっていったり、好きな子ができて自分の感情と向き合って悩んだり。そういうところがすごく好きですし、三浦涼介という役者が生きていく中でも共感できるところがたくさんあります。
――歌・朗読とパフォーマンスに分かれて表現するReading Musicalというジャンルに対して、楽しみなことなど感じていることを教えてください。
前回の公演で、この作品の形はできていると思います。ただ、僕にとっては初めての経験なので、「どういったものになるんだろう」とドキドキしていますし、お稽古や本番で感じるものも多いでしょうから楽しみです。
朗読劇である以上、なぜ本を持っているのか考えるべきだと思っています。今回、僕ら読み手はあまり動かず、パフォーマーの皆さんが具現化してくれる。朗読劇らしい作品をお届けできるんじゃないかと思いますし、僕自身もお稽古の中で朗読劇である意味をしっかり見つけたいです。
――読み手・歌い手を三浦さん、パフォーマーを村田充さんが担当し、2人でレゴシを作っていきます。Wキャストとはまた違う感覚があるのではないかと思いますが、どう挑もうと考えていますか?
過去に『仮面ライダーOOO(オーズ)』に出演したときに、アンクというキャラクターを演じました。体の一部(腕)しか復活できていない怪人という設定だったので、勝手に動く腕に声を当てていくという。その時は僕の芝居をスーツアクターさんが見てくれて、腕で三浦らしさを表現してくれました。常にお互いを感じながら、信頼関係でできていたことだったと思います。
今回も、必要以上に話し合って作っていくことはしないかな。日頃から相手を見ていれば感じることはたくさんありますし、完全に一緒になる必要もないと思うし。相手を信頼していればいくらでも可能性は広がっていくと思うので、とにかく相手を感じることを大事にしています。
――主演を務める時の皆さんとの関係づくりの方法、初めましての方が多い現場に入っていくときに心がけていることがあったら教えてください。
とにかく自然体で。今やっている舞台『呪術廻戦』も、4年目で初めて自分がセンターを張らせていただいてますが、後輩の皆さんとほとんど喋ったことがなくて。ただ、先日皆さんとお食事をした時に、今回が初めましての方々から「三浦は何も喋らなくていい。あなたは背中で見せてくれる人だから。みんな見ているし、分かっています」と言っていただいて、すごく嬉しかったです。大丈夫だったんだというか、自分の中の正解に少しでも近づけたのかなと。何かやろうと思うと空回ってしまうので、努力はするけどできる限り自然体で行こうと思っています。
――今回のお稽古で楽しみなことはありますか?
初めましての方ばかりなので、単純にそれが楽しみです。ご縁があるのは本当に奇跡だと思うので、お稽古でたくさん吸収して、次に繋げていきたいです。
――声のお芝居におけるこだわりなどはいかがでしょう?
今回のように原作やアニメがある時は、その要素を自分の中に取り入れる作業をしています。それ以外でも、声のトーンや音というのは大切にしていますね。自分の喉を通した言葉がどんなトーンで届くのかは、これから作っていくところですが、「三浦でよかったな」と思っていただけるものを目指したいです。
――今回は読み手・歌い手での参加です。素人からすると、喋る時のトーンと歌のトーンを合わせるのもすごく大変そうだと感じます。
本当にそうなんですよ。だからミュージカルで芝居から歌になった時に別のキャラクターみたいになってしまったり違和感が生じたりすると、自分で演じていて恥ずかしくなってしまうことがあります。でも、歌もセリフだから「音なんてなくてもいいんだ」という感覚で、気持ちと言葉を伝えるように心がけています。音楽を作っている人もきっと感情を音にしているだろうから、気持ちが入っていたら違和感なくその音に行けると思うんです。だからこそ僕らはその領域を目指して努力しないといけませんが、今回音楽を担当している和田俊輔さんとはプレイベートでも交流があってすごく信頼しているので、あまりセンシティブにはならずにいます。
――公式PVを見て、ビジュアルもレゴシに似合っているなと感じました。また、三浦さんと村田さんの雰囲気も合っていると思いますが、撮影時のエピソードはありますか?
舞台に限りませんが、基本的に自分でメイクをしています。もちろんプロフェッショナルの方々に助けていただいて表舞台に立てているんですが、自分が自信を持てるよう、生活の中に取り入れたくて。できる限りのことを自分でやることをすごく大切にしています。
今回も自分でメイクをしたんですが、後で村田さんのビジュアルを見た時にハマっている感じがありました。「プロの方もこういうイメージを持っていて、レゴシをこういう感じで作りたいんだ」と思えて、同じ気持ちで作れているのかなと。
今回僕ら読み手・歌い手は声で伝えていく役割ですが、見た目というか、違和感を与えない絶妙なつっこみ感は大切だと思います。その手応えをビジュアル撮影で感じられたので、このまま進んでいきたいです。
――最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージやお誘いのコメントをお願いします。
「楽しんでください」ということに尽きます。とにかく見ていただかないと何も始まらないですし、見に来ていただけたらそれ以上語ることはありません。この記事を読んで興味が湧いたら、劇場に足を運んでいただければありがたいです。
テキスト:吉田沙奈
公演概要
Reading Musical「BEASTARS」episode 1
■原作:板垣巴留『BEASTARS』(秋田書店「少年チャンピオン・コミックス」刊)
■脚本: 西森英行
■演出: 元吉庸泰
■作曲・音楽監督:和田俊輔
■歌唱指導:山野靖博・塚本 直
■振付・ステージング:塩野拓矢(梅棒)
■出演
<歌い手・読み手>
三浦涼介/崎山つばさ/風間由次郎
梅田彩佳・真山りか[私立恵比寿中学] *Wキャスト
美弥るりか
<パフォーマー>
村田 充/速川大弥/竹井未来望/MITSUKI[ミームトーキョー]
<Story Artist>
髙澤礁太/松岡歩武
<演奏>
ヤマザキタケル ほか
<スイング>
伊藤里紗<歌い手・読み手>、渡邊 気<歌い手・読み手>
[東京公演]
■日程:2025年9月28日(日)~10月2日(木)
■会場:シアター1010
(東京都足立区千住3-92 千住ミルディス1番館10F)
[大阪公演]
■日程:2025年10月11日(土)~13日(月・祝)
■会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
(大阪府大阪市中央区大阪城3-6)
■料金:(東京・大阪)全席指定10,200円(税込)
※全席指定/前売り&当日共<未就学児入場不可>
■主催:Reading Musical「BEASTARS」2025製作委員会
©板垣巴留(秋田書店)/ Reading Musical「BEASTARS」2025製作委員会
■公式HP:rm-beastars.com
■公式X:@bstmusical #Bミュ
■公演に関するお問い合わせ:rmbeastars@gmail.com