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「あの二人とやれるのは楽しみだった」演出・鈴木勝秀の選択の先に見えるもとはー。

カフェで話しているようなリラックスした雰囲気で、作品を手掛けるクリエイターの方々に話を聞かせてもらう、“ちょっとここだけバナシ。“
今回のプラスな話を届けてくれるは、2021年10月・11月に東京と大阪にて上演する「ROCK READING『ロビン』~『ロビン・フッドの愉快な冒険』より~」の上演台本・演出を手掛ける“スズカツ”こと鈴木勝秀さん。多くの反響を呼んだ「ROCK READING『幸福王子』」(以下『幸福王子』)の上演から一年、「新たなジャンルの誕生を感じさせた」と語るスズカツさんが何を思い、何を感じてROCK READINGの第2弾となる本作を手掛けようと思ったのか。昨年から続投となる本髙克樹さん、今野大輝さんへの思いも伺いました。さらに、お客さまから募ったご質問にも大いに答えていただきましたのでぜひ、ご覧ください!

――まずROCK READINGの第2弾をやろうと思われたのは?

音楽を前面に出したことがやりたかったんです。もともと大嶋吾郎くんとはライブハウスでいろんなことをやっていて、それを劇場でやれるということが『幸福王子』ではっきりとわかったので、これはどんどん進めていけたら楽しいなと思っています。

――『幸福王子』に続いて本髙さん、今野さんを起用されたのは?

面白かったからです。二人のキャラクターが対照的で面白かったのでこれを1回で終わらせるのはもったいないと、またやれたらいいなと思いました。僕の作品は1回で終わることが多いんですけど、2回、3回と続けていくとさらに面白いことが見つかったりもするから。たまにやらなきゃよかったと思うときもありますけど(笑)。またあの二人とやれるのはすごく楽しみだったので、それが実現できたのでよかったと思っています。

――お二人の「面白い」と思われる部分はどんなところですか?

やりたくないっていう感じが全くなくて、「やりたい!」という気持ちがすごく強い。短期間で稽古をして一気に本番に入っていくにはポジティブなエネルギーが必要なんですね。それが二人にはあるので、バンドメンバーも二人を見ながら非常に盛り上がってテンションを上げていました。そういうことって舞台に上がるにはすごく大事なことだと思うんです。

――言葉ではなく行動で示すといった?

理解力も高いので自分たちが何をすればいいかを全て言わなくてもどんどん探していける。その辺は一緒にやっていてやりやすいです。

――今回はキャストが決まってから脚本を書かれたと思います。書く中で当て書きの部分はありますか?

彼らが本当はどんな人なのかはまだ知らないので、僕の中で見えている本髙くんと今野くんというのを勝手に考えて、それにはめていこうと台本は書きました。

――スズカツさんの作品には一貫性があるように感じます。脚本を書く上で大事にしていることはありますか?

『幸福王子』も今回の『ロビン』も元々原作があって、そこに書かれているものを大幅に変えているわけではないんですね。なので僕がそれを選んでいることに一貫性があるんじゃないでしょうか。選ぶということはかなりの主張なので。ただそれが何であるのか、僕が何を主張したいのかということではなく、『幸福王子』や『ロビン』、この前であれば空想科学『Kappa』やモボ朗読『二十面相』を選んだことが、実はものすごい主張なんだと思います。端的に言って「何を主張したいんですか」といわれると、それは観て感じ取ってもらったものが正解。僕が何を言いたいのかなんていうのは、実はそんなに大したことではないと思っています。

――「選択」というお話しがありましたが、題材に「ロビン・フッド」を選んだ理由は?

バンドをやりたかったんです(笑)。そのバンドという言葉の中に、「ロビン・フッドの仲間たちみたいなやつら」といった意味があるので、そういうところも題材を選ぶヒントになりました。“Paul McCartney & Wings(ポール・マッカートニー&ウイングス)”というバンドの『Band on the Run』の曲に「悪党たちが逃げていくぞ!」みたいな歌詞があるんですけど、そんなのをやろうと思って。ローリングストーンズみたいな曲で「ロビン・フッド」を作り直したら面白いんじゃないかなという流れでした。もちろんそれ以外にいろいろ読みましたけど、「ロビン・フッド」が一番ピンと来たのでそれでいこうと。

――スズカツさんの作品は音や音楽で表現するシーンが印象的ですが、どのタイミングでどんな風につけていかれているのでしょう。

決めてはいないですね。僕にとって音楽はいろんなことのガイドラインなので、こういう音楽の世界観を作りたいというところから台本を考えたりします。音をどのようにして入れていくかは、言ってみればセンス(笑)。「このような方法でやってます」とまとめることはできても、人のセンスはそれぞれ違うのでたぶん違うものになっちゃう。僕は、舞台に乗っかってくるものは全て自分の好きなものをできるだけ多く乗せて、嫌いなものはできるだけ排除する。そこで出演者とお客さんと僕と僕のセンスがいい感じで融合すると、大勢の人に喜んでもらえる作品になると思っています。だけどそうじゃない場合は、「なんだこれ」っていうものになっちゃう。でも僕は、自分の作ったものがいつでもわりと好きです(笑)。

――本髙さん、今野さんお二人とも、「スズカツさんは自由にさせてくれた」と仰っていました。改めて演出で大事にされていることは?

まさにその「自由にやる」ということですね。僕は自由になりたくてこれをやっているのに、一緒にやる人の自由を奪うことはしたくない。自分の力を示すために人の自由を奪うことがあるけど、僕はそれに真っ向から反対したい。だからできるだけみんなが自由にやって、その中でみんなが自由に考える。そんなパフォーマンスだからこそ成立する自由さがあると思うので。自由であることを求めない人は僕の芝居は辛いと思います。なんで何も言ってくれないんだろうってなっちゃうから。その点、本髙と今野はほっといても考えて、「ああ、そんな風に考えるんだ」とか「そんな風に思うんだ」っていうのが随所に出ていて面白かった。ちょっとしたヒントを言っただけでそこから爆発的に遠くまで飛んでいけてたので。それは公演が始まってからもずっとで、何ができるかを考えてやれることを増やしていました。たぶん楽しかったんだと思う。人は楽しいといろんなことをやうろとする。けど、つまらなかったりやりたくないことに関しては守りの姿勢になって、怒られないようにしようってなっちゃう。あの二人は怒られるとかそんなことを全然考えてなくて(笑)。もう好き放題にやってんじゃないかって(笑)。それをバンドのみんなも喜んで、「そうくるならこうしよう」とか。非常にいいムードの中でできたので今回もきっとそうなると思います。それを一番楽しみにしています。

――本髙さんも、「公演ごとに演じ方を変えていたところにも面白さがあった」とお話しされていました。

やらせているというより、僕はそういうのを見るのが好きなだけ。人が何かをやろうとしているのを見るのが好きなんですよ。やろうとしない人を見ると急に怒っちゃったりします(笑)。

――朗読劇『ピース』でご一緒したとき篠井英介さんが、「若いときにスズカツさんと一緒にできることはとても幸せだと思う」と仰っていました。

本髙、今野にしても矢花(黎)くんにしても舞台に上がってもいいという人たちなわけで、中身がない人じゃないですから。その中身があってその中で好きに考えてやってみようとなる。例えば『Kappa』の織山(尚大)(少年忍者/ジャニーズJr.)とかも、「あんなに踊りたいんだったら踊ればいいじゃん」って思うんです(笑)。それだけやりたいことがあるんだったら。「やりたいことをやっていいよ」と言ったらそれはもう、「じゃ、好きなようにやろう」って思うので。そうすると、その人が一番生き生きとしている姿になるんだろうと思います。

――これまでも若い世代の方々とご一緒されていますが、どんなことを期待しますか?

僕は年齢とか国籍とかそういうのはあんまり考えないですね。何歳だからどうとかじゃなくて、最近の中で一番若かったのは織山が17歳だと思うんですけど、僕17歳の時には相当いっぱしのこと考えていたので(笑)。そんな若い人に何かを期待するのじゃなくて、「負けたくない!」みたいな(笑)。「織山に負けたくない!」とか「本髙に負けたくない!」とか(笑)。それに彼らはエネルギーがあるから、「チキショー!こいつら疲れねぇな!」とか思うわけで(笑)。こっちは見てるだけで疲れちゃうのに。だったらこっちも出せる武器を探してこないとって思うので、とてもいい刺激をもらっています。そこに年齢とか関係なくて。演劇は60歳、70歳にならないと技術が身につかないのかと言われればそんなことはない。それがいかにも大変な年月を経て身につけたと言わなければならないのは、自分を守ることになっちゃうのでそれはあんまり面白いことじゃない。「織山、こんなに踊れるんだったら踊れよ」みたいな感じで考えているから、若い人に期待とかじゃないです。新しい何か、刺激をくれるから面白いです。とても楽しい。

――『ロビン』をより楽しむための事前準備はありますか?

個人的なことを言えば、舞台を観て面白いと思えば原作を読むのがいいかなと思うんです。観ている最中に、「わからなければいけない」というプレッシャーをみんな早く捨て去るといいなと思います。「わかんないものでもいいじゃない、観るときは」って思うんです。原作を読んでわかることもありますし。興味があることはしたらいい、興味がないことはしなくていい。一応作っている側とすれば、せっかく観に来たんだから最後まで観ていただきたいですけど、ほんとのことを言えば観に来てつまらないなと思ったら帰っちゃってもいいんですよ。ただやってるからには、どんどんお客さんが帰り始めたらそれはどうなんだってなるので(笑)、最後まで観ていただけるように作ります。

――脚本を読ませていただき、後半のあたりがスズカツさんがより見てほしいところなのかなと、勝手に思いました。

まあ、意外な展開ですから。今回も大嶋吾郎くんがものすごい勢いで音楽を作ってくれて、非常にいい曲がずっと溢れています。退屈することはないかなと思ってるんですけど、最後まで観ていただけるといいなと思います。

――大嶋吾郎さんとは、どんな風に音楽を作られているんですか?

僕は台本にイメージに近い既成の曲を書いておくんです。吾郎くんはそれを見てこんな感じかなと作ってると思うんですが、僕もその制作過程はわからなくて。とにかくそんなに打合せはしないです。ただあっという間に曲ができてくるので、ここは吾郎くんに聞かないとわからないですね(笑)。あんな速度で何で作れるんだろうと思うくらいの驚きです。1日に5曲とかできて来るんですよ。それも全部一人で演奏して全部一人で歌ってMIXしたやつが。もう、意味が分からない(笑)。そういう意味でも吾郎くんがいないと僕の作品は成立しないので、なるべくケンカをしないようにします(笑)。

――もし第3弾があるなら、ラブコメディが見たいです。というご意見もありました。

えっ。ラブコメディって本髙と今野の(笑)?

――はい(笑)。「本髙さん、今野さん、大嶋さん、スズカツさんで作るラブコメディが見たいです」とのことです。

それは女子が出てきてもいい感じ?

――うーん・・どうでしょう・・・・恐らくこの4人で繰り広げる感じではないでしょうか。

僕、申し訳ないんですけど恋愛ドラマが一番苦手なんです(笑)。

――たしかにスズカツさんの作品で恋愛ものをあまりみたことないですね。

ゼロではないですが、ラブコメディとなるとあまり得意じゃないですね。なんだろうな・・・・得意じゃない(笑)。そこにドラマを持ち込んでっていうのは・・・・まあでも、やったことがないからチャレンジとしては面白いかもしれないですね。

――見てみたいです。スズカツさんのラブコメ。

すっごくくだらないことになりそうですけど(笑)。今度、演劇集団 円で『夏の夜の夢』という舞台をやるんですけど、これはちょっとラブコメディ入ってますね。入ってますけど・・ちょっと違うか。恋愛関係が出てきてもわりと悲劇的になっちゃうんですよね。ラブコメディはあんまり考えたことがないのでヒントとしていただいて、頭の中でシミュレーションしながら考えるのは楽しいかもしれないですね。

――最後にお客さまへのメッセージをお願いします。

『幸福王子』で本髙、今野、バンドメンバーと非常にいい出会いでスタートしたものですから、みんな2回目をやりたいと思っていました。ですから失敗作にはならないんですよね、すでに。2回目をやれることに喜んでない人がいないんです。ROLLYさんもノリノリな感じでしたし、カズマ・スパーキンも『二十面相』のときから「楽しみにしてます!」って。みんな楽しみにしてるのでぜひ、お客さんも楽しみにして来ていただければと思います。これだけみんながやりたいと思って集まるもので僕、失敗したことがないのできっと楽しいことになると思います。お互いに知り合っている部分もあるので、稽古スタートから共通認識を持ってやれることの数が増えていくと思います。そういう意味では『幸福王子』も超えて、グレードアップすると思います。

スズカツさん、ありがとうございました!


公演概要
ROCK READING『ロビン』〜「ロビン・フッドの愉快な冒険」より〜
【出演】本髙克樹(7 MEN 侍/ジャニーズJr.)今野大輝(7 MEN 侍/ジャニーズJr.)/ROLLY カズマ・スパーキン
【原作】ハワード・パイル「ロビン・フッドの愉快な冒険」
【上演台本・演出】鈴木勝秀
【音楽】大嶋吾郎
【日程・会場】 
<東京公演> 2021年10月21日(木)~10月31日(日) ヒューリックホール東京
<大阪公演> 11月5日(金)~11月7日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
【チケット料金】全席指定 9,000円(税込)
※未就学児童入場不可
【チケット一般発売日】好評発売中
【お問合せ】
<東京公演>キョードー東京 0570-550-799 (平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)
<大阪公演>キョードーインフォメーション TEL:0570-200-888 (平日・土曜11:00~16:00)
【公式HP】https://robin2021.com 
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